サブ12を達成できる魔法の杖!?~夜明けのランブラーさんの2ポールの話

今回のレースで、自作のカーボンポールを利用して初挑戦にして見事13時間10分台でゴールされた、
夜明けのランブラーさんの快挙も記念に記事にしておこうと思います。

私が、ダブルストックの有効性についてしばしば触れていたのは、皆様ご承知の通りです。

ストックの効用?~ 追補 ダブルストックの再評価

ランブラーさんは恐れ多くも、私のこの記事をお読みになり、ご自身で、ポールを試作なさったそうです。
買わないで自作されるところが凄いと思います。もっとも、性能が高いポールは、値段も高いのでしょうが・・。

で、このあいだのハセツネでご健闘なされ・・最初に書いたとおりの素晴らしい結果となりました。

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失礼ながら、ランブラーさんのところからレースデータを抜粋させていただきますと・・。

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Result
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第一関門(22km) 4:11:47 (718位/2198人)  区間タイム:−

第二関門(42km) 8:16:12 (564位/1943人)  区間タイム:4:05:35

第三関門(58km) 11:35:29 (411位/1767人)  区間タイム:3:19:17

ゴール(71.5km) 13:10:56 (365位/1766人)  区間タイム:1:35:27
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驚くべきことは!
ランブラーさんが 第一関門からゴールまでに 実に 350人 以上ものランナーを

ごぼう抜きしたことです。

これは、氏の努力の賜物であることはもちろんですが、
ランブラーさんが自ら製作されたカーボンストックの効果
疲労軽減に役立って、後半になっても初速を維持でき・・
かなり大きな働きをしたからだろうと推測しています。

このデータは、ストックの効果が現れた好例だと思っています。

レース内容の詳細は、ランブラーさんのブログ記事を参照されてください。

でも、会場では13時間台のランナーでストックを使っている方はあまりいなかったとか・・。

サブ12を達成する手段として、ポールが使える道具であることが
トレイルランナーのあいだでは、まだまだ認知されていないのでしょうか・・。

と同時に、速さを「持続」できないのに、突っ込み重視で山耐に挑戦なさるランナー
がいまだ多いことがこのデータからでもわかります。

「初速」が速かったけれど、維持できずに、ばてて・・哀れランブラーさんの餌食になってしまったわけです(爆)。

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1:0.95:1.30 の比率的に見てみると・・

252分:245分:295分=1:0.97:1.17

第二区間がいまいち伸びていませんが、まぁ許容範囲内でしょう
第三区間のタイムはサブ12ペースレベルで伸びています。

来年は、第三区間はこのまま、5時間以内で維持しつつ
前半(第一区間と第二区間)を、合計 7時間以内に抑えられれば
サブ12達成となります。

初速×3.25で、予想ゴールタイムと比較してみると・・。

252分×3.25=819分(予想ゴールタイムの上限は13時間39分)

ランブラーさんの本番でのゴールタイムは、13:10:56 ですので、
全ルートを通じて、ペースダウンすることなく、上手に走りきれたことになります。 

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かの inoxバック は有名ですが、ランブラーさんの サブ12ポール も来年ランブラーさんが、サブ12を達成したら、
一躍有名になりましょう。

ほんと、これだけの成果があるとなると「サブ12を達成できる魔法の杖」として、会場脇で売れますね(セットで2万円ぐらいか??)。

今後の展望  軽量化、そして空冷化、ひいてはザックレスへ・・。

いまの時代、軽量化というのはもう誰もが試みておりいささか当たり前、いわば常識となっています。
それでも、私が、ハセツネの記事を書きはじめたころは、ミカンさんなど7キロもの荷物を背負って挑戦されており、さすがに重たかったようです。
軽量化というものの後に来るのは何か?

多分、空冷化であろうと考えます。

つまり運動による発熱を、速やかに冷却して、発汗作用を抑えるわけです。
発汗を抑えると、体内の恒常性をそれだけ長く維持できるわけで、つまり、補給回数と補給量を減らすことが出来ます。

ひいては、荷物の軽量化にも役立つことでしょう。

で、空冷化の次に来るものは何か?というと私がかねてより考えていたザックレスです。


ザックレス・・ザックを背負わずに、せいぜいポケットに忍ばせた補給燃料だけで走りきること。

ザックレスの長所はなにかというと、背の荷物がないのですから究極の軽量化であるとともに、背中を覆うザックがなくなることで、背中からの放熱が妨げられなくなることで究極の空冷化が実現されることです。

とともに、身体の動きを制約するザックがなくなるのですから、動きが自然な走りのそれとなります。どんなに素晴らしいザックであってもランニングフォームを制約していると考えています。ザックレスによりその制約がなくなるわけです。よって、いままでの走力のままに無理なくペースアップが可能です。

私の場合、背筋を使った走り方をしているせいか?ザックを背負うだけで、一時間で5分ほど遅れます(ザックを背負って走って、60分でしたら、ザックを背負わずに走って55分となります)。ザックを装着することによりそれだけ体幹の動きが制約されるからだと考えています。

試しに、今春青梅高水トレイルレースの試走で、ザックレスで走ってみました。榎峠まで、なかなかい90分を切れなかったのですが(93分ぐらい)、ザックレスで走りましたら、85分ぐらいで通過できました。タイム的には、榎峠の時点で8分ほど速く入れたことになります。

青梅高水試走 その6(最終試走)(注・・exblog は削除しましたので、リンク切れです)

はじめから、ザックレスがいいのは判りきっておりましたが、なかなかその段階にたどり着けませんでした。
ザックレスを実現するにはステップがあって、まずは、軽量化、次に、空冷化、そして最後にザックレスが可能となります。
山耐の場合は、10月10日前後に行われるので、気温が高く、空冷化の対策が不可欠だからです。

充分な空冷化の対策を行ってはじめて、次なるザックレスの段階に至れると考えます。
つまり軽量化を尽くしただけでは、ザックレスには至れないということです。

※山耐で、ザックレスを実現できた場合、ザックを背負ってのノーマルでのゴールタイムよりも40分程度タイムが速くなると考えます。ゴールタイム8時間30分のランナーでしたら、7時間台が可能だということです。


注 当たり前ですが、水や補給食を減らすこのやり方は一歩間違えると、生命の危険があるやり方です。誰にでもできる方法ではありません。単純にタイム短縮のために行ってはなりません。

補給について、①水分補給、②痙攣対策、③カロリー補給を分けて考える。

皆さんは大汗をかいて、足が攣った経験があるだろうか?
その場合、たいていの人は、水分(スポーツドリンク)をたくさん補給して回復を試みると思う、けれど、過去の経験上スポーツドリンクは、痙攣対策の特効薬にはならないように感じている。
むしろ、痙攣対策は、水分補給とは別に講じたほうがよさそうだと考えています。(キャリアのあるスポーツ選手にとっては当たり前の話でしょうが、初心者向けですのでご勘弁!!)

また、空腹対策、いわゆるシャリバテ状態も、ペースを落とす一因でありトレイルランの敵です。これには、血糖値をあげる効果がある食物を摂取するのが、早道でしょう。

こんな風に私は最近、①水分補給、②痙攣対策、③カロリー補給を分けて考えるようにしています。(まぁ、①と③を分けて考えるのは、当たり前でしょうが、別個に②を取り上げたことに意味があります。)

個別に論じますと・・。
水分補給・・山で生きてゆく上で一番大切なものは、水であり、行動能力を維持する上で適切な①水分補給は、不可欠です。補給量は外気温にもよりますが、私の場合、これからの時期(10月~3月)は、1.5時間で500mlも採れていれば充分なようです。山耐では、人にもよりますが、せいぜい3リットルが背負う限界でしょう。それ以上背負っては、荷物が遅くなり行動ペースに影響がでてしまいます。

いま理想のスポーツドリンクは・・。
あちこちのウェブサイトを覗くと、だいたい10分から15分おきに、100ml~200mlを摂取するとよいと、よく書かれています。でも、冬はそんなに飲まずとも良いと思います。

痙攣対策・・これは、ハイペースなトレイルランに必要不可欠な対策だと考えます。歩くペースでしたらまず、痙攣は起きないでしょうが、ハイペースのトレイルランでは、痙攣が起こりやすくなります。特に暑い時期や、冬から春にかけての時期、身体がまだ暖かさに慣れていない時期のレース(例 青梅高水トレイルレース)では、痙攣を起こしやすいと考えます。山耐でも、太陽が出ているうちに汗をかきすぎると、痙攣する恐れがあります。
この場合、痙攣が起こる前にメダリストやアスリートソルトを意識的に摂取するのがよいようです。私はメダリスト派です。

カロリー補給・・これは、4時間ぐらいのレースでは、不要と考えています。山耐のように10時間近くになると必要でしょうが、訓練次第でカロリー摂取量を減らすことが出来るはずだと、常々考えています。
レースで消費するカロリー全部をレース中に補給する必要は有りませんし、内臓にも負荷がかかるハイペースのレースでは、そんなことは不可能でしょう。以前書いたように、山耐では、2000~3000カロリーを摂取すれば十分だと考えています。

山耐装備の考察 ④ フラスクによる補給作戦

☆行動時間の短縮を目指す場合は、行動中に食べにくい「御握り」や、パワーバーなどをそのまま現場で封を切って摂取するよりも、あらかじめフラスクにパワーバーそのほかをつめて舐めながら走るという作戦が時短に有効なようです。ちなみに、奥宮選手は、パワーバー4袋をフラスク一つに移して、山耐では、5個のフラスクを使うそうです。合計、パワーバー20袋ですね。
でも、フラスクだけでは・・という方の場合は、関門ですこし休むときに「御握りその他」を摂取、走りながらは、フラスクを舐めるといった「使い分け作戦」はいかがでしょうか?

☆ちなみに、チューブに入ったコンデンスミルクを舐めるのもいいかと思います。高カロリーで甘くって効果があります。

☆最近は、フラスクを収納できるポケットがついたザックも発売されているようです。


フラスクを多数装備した選手

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資料 サブ9、サブ10レベルの選手たちの装備あれこれ・・


腰ベルトにライト、ショルダーに予備のライト


後ろの赤いものは、ウインドブレーカーかな?


ペツルのヘッドライト、ザックのウェストベルトに行動食多数


コンパクトにまとめたザック

※私はヘッドライトが嫌いなのですが、サブ9、サブ10レベルのトップ選手達には、ヘッドランプはいわば必要装備品のようです。またダブルストック作戦の場合は、ヘッドライト使用が前提です。
ヘッドライトは、必ず頭に括り付けねばいけないモノではなく、ショルダーベルトに括り付ける作戦もアリだと考えます。

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山耐装備の考察 ①

山耐装備の考察 ②

山耐装備の考察 ③ ハンドライトの携行方法あれこれ・・。

山耐装備の考察 ② 防寒衣料について

※ここで防寒衣料というのは、雨具ではなくって、中綿が入った保温性がある衣類を指します。

防寒衣料の要否は、「体温が奪われる諸要因(現在位置の標高、北からの風の有無、気圧配置)」、と「体内で発熱する程度(運動のレベル~歩きは、発熱が低く、ジョグは発熱が高い)」との相関関係によります。

ゴールタイムが「体内で発熱する程度」の目安になると考えます。

結論から言うと・・晴天で北風が吹く天気の場合
①ゴールタイムが15時間以上の場合は、防寒衣料が必携です。
②ゴールタイムが12時間以内の場合は、防寒衣料は不要です。
③ゴールタイムが、12時間~15時間はいわばグレーゾーンで、判断に迷うところです。
・・となります。

去年の本番で夜間に、日の出山から、大岳まで応援に行ったが、行きにすれ違うのは、大体サブ14以上の選手の皆さんだった。帰りは、長尾平で、午前2時過ぎまでやってくる選手を見ていたが、どの選手も、ウィンドブレーカ、ジャケットを着込んでいた。

防寒衣料の要否は、ゴールタイム15時間前後を境にしていると思われる。
だから、自分のゴールタイムが、15時間以上になると思われる方は、防寒衣料を用意するべきだろう。
ゴールタイムが、12時間以内の人は、防寒衣料は不要と考える。

上の二枚は、2006年の大会のときの写真、場所は日の出山、時間は、日の出の直前(午前6時少し前)・・座っているのは、ゴールタイム17時間台の選手の皆さん 。どんなものを着込んでいるか判りますね。

おまけ


上の二枚は、去年のスタート前のグランドの風景、スタート時点の選手のウェアや、荷物がわかると思います。

ところで、私の知り合いの多くは、パタゴニアの下のジャケットを持っています。山耐本番でも16時間台ゴールの51さんが第三チェックポイント付近で着込んでいました。
御前山や、大岳付近を「歩くペース」には快適のようですが、御岳から日の出山あたりの水平な道をきちんと走るとなると体温が上昇して、少し暑かったようです。
でも、ウェイトがかなり軽いので、雨が降らない限りは、トレイルランにうってつけだろうって思っています。
ただ、値段が張りますね~!

Men’s Down Sweater

詳細
非常に軽量ながら耐裂性に優れ、耐風性と耐水性を備えたシェル素材
中の高品質ダウンを押さえるキルト構造
DWR(耐久性撥水)加工済みのフロントジッパー
DWR加工済みのジッパー式ハンドウォーマーポケットが2つ
内側のストレッチメッシュ製ジッパー式ポケットには本体を収納可能(カラビナ用ループ付き)
伸縮性をもたせた袖口はナイロンの縁取り済み
ドローコード付きの裾
シェルと裏地:1.4オンス・22デニール・ミニリップストップ・ポリエステル(リサイクル・ポリエステル100%)。デリュージ® DWR(耐久性撥水)加工済み。インサレーション:800フィルパワー・プレミアム・ヨーロピアン・グースダウン
352 g (12.4 oz)

Men’s Down Vest

詳細
非常に軽量ながら丈夫で、耐風性と耐水性を備えたリップストップ・シェル素材は中のダウンを保護
高品質なグースダウンのインサレーション
しなやかな裏地
ソフトな起毛ポリエステルの裏地が付いた襟ぐりは快適な肌触り
内側にジッパー式ポケット付き。ジッパー式ハンドウォーマーポケットはマイクロフリースの裏地付き
フロントジッパーは裏側にひっかかりにくいウインドフラップ付き
アームホールはスパンデックスの縁取り済み。ドローコード付きの裾。本体を収納できるスタッフ・サック付き
シェル:2オンス・マイクロデニール・リップストップ・ポリエステル。デリュージ® DWR(耐久性撥水)加工済み。裏地:1.6オンス・マイクロデニール・リップストップ・ポリエステル。DWR加工済み。インサレーション:700フィルパワー・プレミアム・ヨーロピアン・グースダウン
431 g (15.2 oz)

山耐装備の考察 ① 水と携行食糧の話し

何回かに分けて、山耐装備の考察を行います。もちろん、山耐本番までには終わらせますので、宜しくお付き合い下さい。

掲載の写真は、去年のスタート時点のトップ集団のもの、選手の後ろから撮影しており、背中のザックがよく分かります。画面はクリックで拡大します。ノースフェイスのザックが目に付きますね。グレゴリーのザックを背負っている選手もいます。注目するべきは、サブ10~12を目指す場合、ザックにどのくらい荷物を入れて走っているか?ということです。

対して、上の二枚は、中堅集団の後姿、背中の荷物の量が、トップ選手と若干違ってきます。
ゴールまでに掛かる所要時間が長くなるにつれて、荷物が大きくなる傾向にあります。

でも・・

①水 
月夜見第二駐車場で補給できるとして、スタート時に必要な水分量は、レースの天候や、選手各人の体質に左右されますが、平均して体重60キロぐらいの男性で、2リットルでギリギリでしょう。私は体重が90キロ以上あるので、3リットルは持つ必要が有ります。

②携行食糧
これも、個人差があり一概には言えませんが、2000カロリー~3000カロリー相当の食糧があれば充分なようです。

※2~3リットルの水と、2000~3000カロリーの食料・・このあたりが、平均的な参加者のスタート時点のザックの中身(補給内容)だと考えます。
ですので、本来的には、それほど、サブ12以上の選手も、20時間台でゴールされる選手の方も、必要となる水や、エネルギーの量は変わらないと考えています。

※装備に不安な方は、とりあえず、スタート時点で3リットルの水を背負って、ルート上で3000カロリー相当の食糧を摂取できるように補給計画を立てればよいと考えます。

※理屈で考えると、ゴールタイムが遅くなるにしたがって、「走り」よりも「歩き」の速さとなるわけで、必要となる消費カロリーは減るはずです。「歩き」の速さが一番「経済的」であるからです。

軽装化・軽量化  トレイルランニングにおける背中の荷物の重さの話し

図表はミカンさんに、御願いして作製していただきました、ミカンさん有り難うございます。

ミカンさんは、なかなかの戦略家で、ほとんど口をさしはさむポイントは少ないのですが・・。
あえて考えますと・・。以下のようになります。

ざっと総括しますと、16時間半作戦が、好天によって13時間半作戦へとうまく化けたようです。
第一チェックポイント以降にうまい具合にご自身のペースで走るように、守りの走りからマイペースの走りに移行されたのが勝因かと思います。

ただ、ミカンさん、ご自身の実力は、12時間以内でしょう。来年、もし好天でしたら、今度はもう少しだけ速いペースで挑戦されるのがよろしいかと思います。

荷物を軽くすれば、べつに速く走ろうと意識されなくっても、速くなってしまうものです。F1ではないですが、荷物の軽装、軽量化が、トレーニングについで大切です。当たり前のことですが、軽装・軽量にすれば、おのずと速く走れます。軽装・軽量作戦が鍵です!!

①天候に応じて、ゴール時間の予測が変わることに機敏に対応しましょう(風雨・・遅れる、晴天・・早まる)。今年は16時間半に、こだわりすぎた嫌いがあるようです。

②前半(特に第一チェックポイントまで)では守りの走りをする。(とはいっても4時間を越えてはならない。)今回の16時間半作戦は前半に守りの走りで、体力温存のよい効果が現れました。

③ところが、荷物があくまでも16時間半を想定した内容でしたので、大岳山を過ぎても2キロを割ることがなかった・・・荷物は、軽いにこしたことはなくって、3・5キロ以内に軽量化する。・・・できれば3キロ以内がよい・・・特に食料は10時間分でいいのではないでしょうか?

(最低でもあと600グラムは軽くしましょう・・・もっとも、他の方に比べるとすでに遥かに軽いと思いますが・・。その上を行くのです。)

④大岳の岩場が終わったらラストスパートで力を出す!(金毘羅尾根ではすこし遅いかなぁと考えます。)

⑤それと、足のつま先が痛まないシューズの準備ですね!!

⑥12時間以内を目指す場合、目安として、大ダワまできたらあと3時間!と意識されますとひとつの目安になります。

軽装・軽量だと

空身に近いペースで速く走れる&速く走っても疲労が少ない(膝にも影響が少ない)

よって、早いペースで長く走れる&後半になっても疲れのレベルが低い(故障が出ない)

余裕を持ってのゴールが出来る!!

あたりまえのことですが・・皆さん意外に出来ていないので、強調しておきます。
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ミカンさんは一昨年の初挑戦の時に6キロ以上を背負われたそうです。さすがに重過ぎます。
ことしは、減量されてスタート時で4キロすこし、次第に減少していって、月夜見第二チェックポイントからは(ほぼ)3キロ以内に抑えられております。これは快適に走りきるためには非常にいいことです。

理想を言えば、大岳山から先は、1キロ以内になるのがベストですが、ミカンさんの場合、当初ゴールまでに16時間半かかると予想されておられ、食料を16時間半の分量背負われていたために、最終的に2キロを割ることがなかったとのことです。(16時間半作戦

推測になりますが、これで、もし日の出山から先が1キロ以内でしたら、ゴールタイムの方も数分は違っていたはずです。

コース前半は一番荷が重いために、ここでスピードを上げると、疲れが激しいです。
ミカンさんはここで自重されましたので、後半に疲れが出なかったものと考えられます。

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戦略的な考察

日の出山から先は、せいぜい300~500ミリリットルぐらいの水のみで下るように、日の出山までで、水のほとんどと、固形食物の全部を消費してしまいましょう。
大ダワからの登りでほとんど水を消費して大岳にたどり着いても、20分もすれば、水場で補給できますし、御岳神社にもあります(お手水、自販機まである)。

軽装のために、意識的に、水が空になる区間を作ってしまうのも手です。たとえば、鞘口峠~月夜見第二チェックポイントまでは、水なしで行動するとか・・。大岳~御岳神社の水場までは水なしで走るとか・・。(ただし計画が狂う要素があるので、賭け的要素が高いです。)

ランナーに限ったことではないのですが、例えば体重が50キロの人が、荷物にして500グラムよけいに背負うのは、72キロにしてみると、数分のタイム差が生じえます。
500グラムと言えば、体重の1パーセント、体脂肪が1パーセント増えるとランナー諸氏はかなりナーバスになるのではないでしょうか?

それと同じぐらいの注意深さを背中の荷物&背負う場所にもあてがって欲しいと思います。

荒天に備えて・・。

①雨天により、ルートがぬかるみ、また坂道ですべりやすくなった場合の、標準タイム増加率10パーセント
②雨具の着用により、主に脚さばきの自由が利かなくなることによる、標準タイム増加率20パーセント

雨天の場合、①+②=30パーセントのタイム増加が見込まれる。

晴天時12時間でゴールできる人の場合、15時間台に下落する(?)
晴天時10時間でゴールできる人の場合、13時間台に下落する(?)

結論  荒天対策は、軽量化対策にもまして重要な課題。荒天対策をうまくなした人にとって、荒天は好天となる(・・苦笑)。

追加、
多摩地区に近いと思われる河口湖の2005年第13回大会の天気(初日)
最高気温18度、最低気温15度
同二日目の天気
最高気温16.5度、最低気温12度

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2005年第13回大会の天気(初日)

2005年第13回大会の天気(二日目)

2006年第14回大会の天気(初日)

2006年第14回大会の天気(二日目)

一昨年の完走率は何と50パーセント台!この低さはかなり問題で、皆さん完走にこだわらなかったのか?それほどの悪天だったのか?といぶかしく思います。

雨が降ると、身体が濡れて、体温を奪われます。土砂降りのなかでも、健康な若い方でしたら、雨具ナシでも、数時間の屋外行動は可能でしょうが、10時間を越えると、身体の恒常機能の維持のためにも雨具そのほかが必要になります。

去年は好天すぎまして、今年は推奨道具の携行が失格事由でなくなりましたから、皆さん装備を削ることばかりに悪戦苦闘されておられるようですが、今年は悪天になるかも知れず、それに備えて、すこし書いておきます。

まず、霧雨ぐらいの雨の場合は、雨具はいらないでしょう。よって以下では、台風並みの悪天候を想定しております。

手足、頭の保温を心がける・・帽子を被り、含水性のない、素材を使用した靴下、手袋を着用することがお勧めです。綿の靴下・手袋などは、おやめになったほうがよろしいでしょう。

雨具(レインコート)・・完走目標が15h~20hの方の場合、雨具の上下を着用したほうがよろしいでしょう。完走目標が、サブ15h以上の場合、ズボンをはいては走れませんので、雨具は上着のみ着用となります。

テルモス(魔法瓶)・・冷たい雨が降る場合、暖かい物を飲むと、身体が温まりますので、コーヒーやお茶を入れたテルモスを持参するのもよいと思います。もっとも、軽量化の趣旨に反しますが、完走タイムが15h~20hを予定されている選手の場合、お持ちになるのもひとつの作戦でしょう。

カロリー摂取量を多めにする・・身体が冷え切ってしまうと胃が食物を受け付けなくなる方がおられますが、本番でそうなるとリタイアすることになりますので、行動中はなるべく身体(特に内臓)を冷やさないようにし、甘いものを普段よりも多めに摂取することが大切です。
雨により体温を奪われつつありますので、失われる体温以上に発熱する必要があり、そのためにはエネルギーが必要になります。おなかが空いていては、雨の冷たさをはねかえすだけの発熱をなしえません。

以上、少しばかり書きましたが、基本的に、雨天の行動は、晴天時のそれに比べてストレスが高く、耐ストレス能力が求められます、が結局それは慣れの問題です。

普段から、すこしぐらいの雨でも、雨具を使用せずに行動するようにトレーニングしておくことが大切だと思います。

確かに、雨の中、雨具も着ないで行動している姿は、バカみたいで人様に見られたくないものですが、ハセツネではそういった経験が役に立ちます。

私の山仲間の奥多摩大好きさんなどは、荒天になってくれないかな!?と、本番で天気が荒れるのをひそかに期待している様子です(爆笑!)。天気が荒れると、走れなくなるランナー諸氏が多いと思いますので、ランナーあがりでない、登山家の方にも、上位入賞の機会が巡ってまいります。

ミカンさんの2005年完走記
しゃおらい部長さんの2005年完走記

装備 衣類など


注:昔の記事に加筆訂正を加えたものです。今のご時世、機能的なウェアがたくさん出ていると思いますので、いろんなショップで気にいったかっこいいウェアを探し求めるのが面白いと思います。

トレイルランニングスタイルの射程距離

第13回大会の完走率は50パーセント台でしたが、これは悪天候によるものであることは明白です。ただ、悪天候であっても、取り組み方次第では、完走できるのであり、悪天の場合に完走するに一番確実な方法論は、一般の山岳縦走スタイルによる完歩です。

トレイルランニングスタイルによるアプローチでは、悪天候の場合、身体への負荷が強すぎて、よほど強靭な肉体と精神の持ち主でない限り、走りきれなくなる可能性が高いでしょう。「ハセツネ=トレイルランニング・アプローチ」という図式で挑戦した人の多くが途中リタイアしたものと推測します。つまり、トレイルランニングスタイルは 万能ではなく悪天候にたいする脆弱性を持つのです。

トレイルランニングというのはあくまでも、山を走破する方法論のひとつだと考えます。それはけして万能ではなく、気温、気象条件によっては実施不可能な方法論です。気温が低かったり、雨が降っていたり、路面が滑ったり、ゴールまでの距離が長かったりと、いくつかの要因で方法論じたいの破綻をきたしてしまいます。ハセツネの完歩を目指されるのでしたら、悪天候の場合、方法論にこだわらず(トレイルランニングアプローチを捨てて)一般の山岳縦走スタイルで歩きとおすことが、身体に無理が来ないで賢いやり方です。

方法論じたいの欠点をよく理解して、状況状況に応じて、柔軟に対応する(アプローチを変える)ことが、利口なやり方です。たとえ土砂降りでも、40キロぐらいの山岳走ならトレイルランニングスタイルで破綻はこないかもしれませんが、ハセツネの場合、距離が長く、気温が低くなる夜間を含みますので、トレイルランニングスタイルでは破綻を来たす可能性が極めて高くなります。

装備の一般論

基本的に10月上旬の秋川筋の山々ですので、夜間冷えたとしても10度を割り込む程度です。
ただし、体がまだ寒さに慣れていない時期ですので、夜の稜線では、思ったよりも風を冷たく感じることが多いと考えます。現に、御岳山の第三チェックポイントなどでは、スタッフはダウンのウェアを着て待機しています。

ただ走っている選手としては、正月の箱根駅伝の状況よりは温かい状況なわけで、サブ12とか、サブ10とかのペースが速い方の場合は、極論すれば、箱根駅伝のようなランニングスタイルでも十分なのでしょう。
もっとも、15時間以上かけてゴールすることが予想される方の場合には、歩きのペースとなりますので、そう寒々しい格好をしてもいられません。

雨が降る場合、気圧配置にもよりますが、台風のような熱帯性の低気圧の場合は、晴天の場合よりも山中は気温が上昇して暖かく、霧が発生しやすいでしょう。温かい雨の場合、土砂降りでもない限りレインコートは不要と考えます。・・もちろん、個人差があります。経験が少ない方、雨で体が濡れると運動機能が低下する方は、雨が予想される場合には、レインコートを持参すべきでしょう。

逆に晴天で北からの空っ風が吹くような場合には、冷え込みますが、霜柱が立つほど冷え込むわけではないので、それこそ冬場正月にランニングをするような感覚・・フリースのセーターなどよりも冷たい風をシャットアウトするウィンドブレーカーの長袖といった機能的なものがあればかなり役立つでしょう。

ちなみに、三頭山から大岳を超えて、芥場峠辺りまでが、標高も高く(1000m以上)比較的北からの冷たい風にさらされやすい区間といえます。

・・というわけで、晴天時でゴールタイムが、サブ15よりも速い方の場合は、横になって寝込むことがない限りセーターなどは不要と考えます。・・もっとも、私は、体脂肪が20パーセントあるので、セーターは不要と書いていますが、これが一般的なアスリートの方で、体脂肪が、10パーセントとかの方でしたら、フリースのセーターや、コンパクトに折りたためるパタゴニアの羽毛の長袖ジャケットがあると重宝するようです。去年の山耐で15時間台でゴールした私の知り合いが、夜間ではパタゴニアのこれを着ていました。

さらに、18時間、20時間とかのゴールタイムが予想される方の場合は、その間に山の天候もいろいろと変化するでしょうから、重荷になりますが、しっかりした防寒具もいざと言うときのために用意されるのが賢明でしょう。


用具選びの基本は、めいめいの方の推定ゴールタイムと、その時の天候状況次第に左右されるというわけです。それと重要なことは、寒さとかにどれだけ強いのか?冷たい風雨にさらされた時の自分の状況についてどれくらい経験的なデータを持ち合わせているのか?・・最終的には、これが用具選びの鍵となります。

基本的な装備について

完走は完全な装備から・・ということで、念のために正統派の山ヤさんのためのハセツネ標準装備を書いておきます(トレイルランニングスタイルではありませんので要注意!)。

◎ 必要装備
○ 推奨装備
△ 念のため装備
☆ あれば便利な装備


◎ゴアテックス製のレインコート上下・・お約束の品物ですね!

◎薄手フリース・セーター

◎手袋(手の保護) 軍手は不可 雨天の場合、スペアも必要

◎ライト 二つ  電球の予備・・予備電球も点灯するか確認すること

◎水 3リットル  (うち テルモス1リットル)

◎行動食 飴、チョコレート、ゼリーなどあれこれいろいろ

◎地図

◎弁当(1000㌔カロリー程度・・注 これは各自の消費カロリーの値との兼ね合いで変化します)

○保険証、救急薬品など

○ハンカチ、テイッシュペーパー

○終日雨天の場合、トレイルシューズよりも軽登山靴のほうがよい。
(トレイルシューズは4時間も走るとぐっしょり濡れてしまう。)

○ゴミ袋

△眼鏡スペア

△靴ヒモ予備 雨天の場合靴下予備

△雨天の時、スパッツ・・終日雨天の時

△エリマキ 寒さに弱い人向け

☆ペン、メモ用紙

☆サイリューム(折ると発光する棒)

以上、あれこれ背負うと 荷物重量は、7キロ~8キロ(下手をすると10キロほどに・・?)近くになる模様。およそ走れる重量ではなくなってしまいます。

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トレイルランニングスタイルの場合の参考装備例(注 当初の記事を書いたときの管理人の装備例です、今はいろいろ違っています)

上衣 吸水性がよく、含水性がない速乾性のTシャツ(腰までの丈)

腕時計 カシオGショック(電池を交換しておくこと)

手袋 転倒の際の怪我予防のため、ホームセンターで購入した皮革製のもの、甲の部分は布製で通気性がよい。もちろん指も隠します。主に夜間、日中はルート状況によって着用します。

靴下 柔かめの薄手ソックス

 トレイルシューズ、ジョギングシューズなど、ぶつけ易いつま先、小指部分の保護がしっかりしている靴

ズボン adidasのウィンドブレーカーの下(防水性無しのもの)・・注 もちろん、シーズンによりウェアは違ってきます。夏場は半ズボンが快適です。

ザック 石井スポーツで購入した18リットルのデイパック(2気室)・・注 その後、キャメルバックを使ったりしています。

メガネ&メガネバンド

×帽子は使わない

雨具
 土砂降りのような、大雨が予想される場合 adidasのウィンドブレーカーの上衣(注 あくまでもその場しのぎですが・・)
 小雨の場合 含水性のない生地で出来たシャツの重ね着、等(ただしよほどの場合にのみ)