トレイルでの「速さ」の可視化、透明化の試み

回想録1  — この記事は、内容的に真新しいものではなく過去の記事を振り返って、分かりやすく説明しなおしたものです。—

5~6年前?或いはもっと昔?立川の駅ビルのスポーツ用品店にジョギング・シューズを買いに寄ったときの話し、お店の一角に丈夫そうな靴が置いてあって、脇に、○◇△×選手が「日本山岳耐久レースで使用したモデルです。」等と書かれたPOP板が置いてあった。
山を走る靴かぁ・・と思うとともに、あのレースがこんな形で有名になっていることに驚いた。

ハセツネの記事を書き始めた頃は、石川選手をはじめトップ選手の走りが「謎」であった。いったいどこをどう走ると、浅間峠まで2時間30分で行けるのか?
雑誌や、お店には石川選手が障害物をジャンプしている広告写真があるので、石川選手はじめトップ選手は下りは、天狗のように歩幅5m以上にジャンプして下るのか?・・等と真面目に考えていた。

しかし実際は、天狗のように飛びながら走るのではなく、せいぜい講習会で教えていただくようなごくごく普通の走り方で走っているのであるが、それで浅間峠まで2時間30分で行けるのは、トップの選手はいわゆる最大酸素摂取量が高いからである。
最大酸素摂取量が高ければ、淡々と走って2時間40分ほどで浅間峠まで行けるそうである(陸上自衛隊大宮駐屯地第32普通科連隊の選手の方々に伺った話し)。
(この最大酸素摂取量と言う基準では今ひとつ漠然としているならば、5000m走のタイムを基準に考えればよい。すなわち5000m走が16分前後の選手ならばさほど無理せずに2時間40分で行けるそうである。)

こんな風に、ある程度の技術を持っていればあとは、速さは、その人の「最大酸素摂取量」次第である。どんな技術を持っていても、その選手の「最大酸素摂取量」以上のタイムを出すことは出来ない。
よほどの初心者でない限り数年経てば、見たり聞いたりして皆そこそこの技術を持っている筈である。持っている「技術」を「速さ」に結びつけるのは、「最大酸素摂取量」である。(分かりやすく言うと、5000m走の速さ次第だと言うこと。)

まとめると・・

技術+最大酸素摂取量(5000mの速さ)=トレイルでの基本的な速さ

となる。この他にレースの長さに応じて、速さを維持できる持久能力が必要になるわけである。

あのレースにひきなおすと、以下のような図表が出来上がる。
Hasetsune Formula Ⅱ

5000m走のタイム   第一関門目標  タイム比率 1:0.95:1.3  ゴールタイム

5000m 15,16分  2時間40分   160:152:208   total 08h40min
5000m 17,18分  3時間10分   190:180:247   total 10h17min
5000m 19,20分  3時間40分   220:209:286   total 11h55min
5000m 21,22分  4時間10分   250:237:325   total 13h32min
5000m 23,24分  4時間40分   280:266:364   total 15h10min
5000m 25,26分  5時間10分   310:294:403   total 16h47min

※注 いずれも余力を持たせたタイムです。
_________________________________________

結局、こういう風に図表化することで、トップ選手のいわば「神秘のヴェール」を剥がすことが出来る。もちろん、トップ選手の「速さ」を皆が実現できるわけではないが、少なくとも頭で把握することが出来るようになるわけである。

「初速を高め、それを維持せよ!」

ここのWebSiteは、「サブ12というのは、さほど難しいことではない!」といった私の確信によって書き始められました。
でも、そのことは、当初、全く理解されず、冷笑を持って遇せられ、何かといろいろと茶化されたものでした。去年あたりは中傷コメントも何回かいただきました。

でも、去年の本番では、私の知り合いにも10時間台でゴールされる方が多く出て、私の立論が「あながち嘘ではない」とすこしは理解されたように感じています。

さて、よく書くことですが、5000mを15分、16分で走れるほど、最大酸素摂取量が高いランナーであるならば、浅間峠まで淡々と走って、余裕で2時間40分で入れるということ。

そして、その速さを持続できれば、山耐公式 Ⅱによって、8時間40分前後でゴールできることになります。

実際には、8時間30分~9時間のタイムを狙う場合には、浅間峠は2時間40分で入れば充分であって、あとは、8時間~9時間に渡ってその速さを持続できる持久力を養成するのがよいということになります(何度も書いたことです)。
この場合、5000mのタイムは、16分台で充分であるようです。

同様に、8時間~8時間30分のタイムを狙う場合には、淡々と走って浅間峠に、2時間35分ぐらいで入れるぐらいの「初速」が必要だと考えます。
これくらいも速さとなってくると、5000mのタイムも15分台が必要になってくると推測されます。(もっとも、単純に5000mのスプリントタイムが比例的に浅間峠までのタイムに照応するとは言い切れないと考えます。ですので、ある程度の幅を持たせた一つの目安として考えます。)

更に、8時間以内のタイムを狙う場合には、淡々と余力を多少残しつつ走っても2時間30分で浅間峠に入れるぐらいの「初速」が必要になると考えます。

それぞれのゴールタイムにおいて、5000mのタイムはいわば 「前提条件」 → 浅間峠までのタイム(初速)が、いわば 「資格条件」 → そして、3.25倍の持久力を養うことが、 「最終条件」 だと考えています。

5000mのタイムに応じた初速がでない場合は、①トレイルランの技術が未熟である、②身体(心肺機能、筋力など)がトレイルに慣れていない、などが考えられます。

同様に、3.25倍にならったゴールタイムが得られない場合は、①持久力が不足している、②ルートに慣れていない、③長距離には向いていない、などが考えられます。

++++++++参考+++++++++++

山耐公式 Ⅰ ( Hasetsune Formula Ⅰ )

4キロ~5キロの荷物を背負って、青梅高水トレイルレースの8~9割(※)程度の速さで第一関門まで走ったタイム×3.25=目標となる山耐完走タイム(71.5キロフルに走れる持久力を備えた場合) 

初速※×3.25=目標タイム

※初速=4キロ~5キロの荷物を背負って、青梅高水トレイルレースの8~9割(※)程度の速さで第一関門まで走ったタイム
※標準的なランナーは、9割が目安。

山耐公式 Ⅱ ( Hasetsune Formula Ⅱ )

5000m走のタイム   第一関門目標  タイム比率 1:0.95:1.3  ゴールタイム

5000m 15,16分  2時間40分   160:152:208   total 08h40min
5000m 17,18分  3時間10分   190:180:247   total 10h17min
5000m 19,20分  3時間40分   220:209:286   total 11h55min
5000m 21,22分  4時間10分   250:237:325   total 13h32min
5000m 23,24分  4時間40分   280:266:364   total 15h10min
5000m 25,26分  5時間10分   310:294:403   total 16h47min

さて、私にとって、5000mで16分を出すというのは大変に困難な事柄ですので、せいぜいサブ12あたりが実現可能なところだと考えています。

自分を基準に考えると・・
サブ12レベル・・スポーツ好きで健康な人なら多少の頑張りで充分実現できる速さ。
サブ10レベル・・ランナーとして上位の方でないと、実現できない速さ。
サブ9レベル・・トップクラスのランナーとしての実力を備えていないと実現できない速さ。

こんな具合に考えていました。

ところが、先日、s@toshiさんにいただいたコメントによりますと、この5000mで16分というタイムは、正しくトレーニングするならば、一般にそれほど困難なタイムではないそうです。としますと、それに対応する8時間40分というサブ9レベルのゴールタイムも、正しくトレーニングするならば・・それほど実現困難なタイムではない、となりそうです。

つまり、8時間30分~9時間以内のゴールタイムは、一般にそれほど困難ではないゴールタイムである!  となろうかと考えます。本当の困難は、その先にある!ということです。

s@toshiさんにいただいたコメントにより、ハードルが一気に高まりました(苦笑)。

将来的には、

いまのサブ12レベル→サブ9レベル、つまり、サブ9という目標が、広く実現可能な射程範囲内に捉えられる。
同様に、いまのサブ10レベルの困難性→サブ8.5レベルへと、サブ9レベルの困難性→サブ8レベルへと評価替えがなされるでしょう。

いずれ参加選手は、サブ9は出せて当たり前・・本当の勝負は、サブ8.5から・・という時代がやってくるかもしれません。
(もっとも、それまで山耐が継続的に開催できればのハナシですが・・。)


2007年度

2006年度

______________________________________________________________________________________

参考

初速を高め、それを維持せよ! ①「初速を高める」ことについて、

初速を高め、それを維持せよ! ②初速を「維持する」ことについて、

初速を高め、それを維持せよ! ①「初速を高める」ことについて、

日本山岳耐久レースで優勝するためにはなにが必要か?
優勝とまではいかずとも、上位を取るにはどうするべきか?
といった問いは、私にとって、究極の課題でした。

優勝できる能力が、登山の実践にとって好ましいものであるならば、登山を志す私も日々のトレーニングをその方向に持ってゆかねばならないからです。

優勝できるためには、浅間峠までの22キロを2時間30分以内で走りきれねばなりません・・そういうことを為し得る体力というものはどのような特質を備えているのか?そこに至るためには、どんなトレーニングが必要となるのか?・・これが、究極の課題でした。

そして、ここに掲げる幾つかの記事が私が得た答えです。
たいしたことは書いてありませんし、今までコメントなどで言及した内容に重複するものがありますが、ここにまとめて記載しておきます。

考えをまとめるにあたっては、小河内吉哉自衛官にいただいたヒントが大いに役に立ちました。感謝しています。今年の山耐では、ご同僚の奥宮俊祐自衛官が、優勝されますよう、心より応援させていただきます。

Ⅰ 基本的走力を高めること、5000m走でのタイムを速めること。最大酸素摂取量を極大化すること。そのために、上半身の贅肉を減らして、余分な筋肉を落とし、いわゆるランナー体型に近づけること。

5000mを15、16分で走りきれる者ならば、淡々と走って、コンスタントに2時間40分で浅間峠まで入れる。
この言葉は、小河内吉哉さん、奥宮俊祐さんお二人から伺い、確認した事実です。
振り返って、miyaさん kojikenさん などなど今年サブ12を目指す私の知り合いの方も、昨年の本番や、今年の試走で浅間峠まで3時間15分以内で入っています。ですので、この「5000mを15分、16分で走りきれるほどの走力を備えた選手であるならば、トレイルの技術を身につけることによって、さほど無理なく2時間40分で浅間峠に入れる。」というのは、かなりの信憑性がある事実であろうと考えます。

☆ こんな風にトレイルランにおいては「基本的走力を高める」ことが、すべての基礎なのです。

よって、①5000m走15分、16分台の基礎体力を養成して維持することが大前提となります。

ところで、5000mを15分、16分台で走りきれるランナーは、どんなランニングクラブにも一人か二人はいるものです。
でも、彼らをいきなり、浅間峠まで走らせても、2時間40分では走りきれないでしょう。つまり、ロードとトレイルは別物であり、ロードの技術はトレイルにさほど通用しないということ。極論するならば、トレイルランニングは、マラソンの延長線上にはないということ。この厳然とした事実二点を素直に認めるべきだと考えます。(「ロードの延長線上にハセツネはない!」ということです。)

そこで次に、②トレーニングは、トレイルでの実戦的な走りこみに中心をおきトレイル向きの全身の筋力バランス、足回りの筋力を養うとともに、トレイルのアップダウンに適した心肺特性に適応変化させる。と同時に、登りや下りを走る”技術”を取得すること。つまり、走りをトレイル向きに特化させることが必要となります。

そして、③5000m15分、16分の「速さ」をトレイルで展開、実現すること。すなわち浅間峠まで、コンスタントに、2時間40分以内で走りきれる走力を持たねばなりません。

☆ トレイルを走りこんで、トレイル向きの足回りをつくりあげ、登りの筋力、下りの技術を鍛え上げて、コンスタントに浅間峠まで2時間40分以内で走り抜けられるほどの「速さ」を修得すること、それが上位集団に位置できるための必要条件です。 


追補  5000m 16分台であること。
小河内吉哉自衛官がおっしゃるには、「(こんな風に)トレーニングは、トレイルが基本です。(一応、5000mは16分あたりで走れるようにはキープして居りますが・・。)」とのこと。

この何気ないひと言から、基礎的な身体能力として、トラック5000mを16分台で走りきれること。ここ大きなヒントがあると直感しました。高速での運動能力のひとつの基準として、トラック5000mを16分台で走りきれるほどの高度の身体能力を備えていることが、浅間峠までのおよそ22キロを2時間30分で行くための第一歩(あるいは「前提条件」)だということです。

最大酸素摂取量
12分走3750m
トラック5000m16分台

このことは、残念ながら、努力・技術の問題というよりも、生来的な高速域での身体能力の高さの問題であると考えます。それはちょうどフルマラソンのトレーニングを如何に努力しても誰もが42.195キロを2時間30分で走りきれるようになれるものではないのと同じです。
ただし、ある程度の素質(最大酸素摂取量の高さ)があれば、体型変化(体脂肪を減らして、上半身の無駄な筋肉を落として、いわゆる「ランナー体型」に近づけること。)を伴う努力の積み重ねと、技術の向上により、浅間峠まで2時間30分というタイムに肉薄することは出来ると考えます。

しかし、いずれにしても生来的ないわゆる走りの「素質」に左右される面が大きく、特にネックとなるのが(先ほどから何度も指摘している)最大酸素摂取量の課題であって、頑張っても5000m走で20分かかる人は、サブ12を狙うのがやっとであると考えます。

逆に言うならば、5000mで16分台をマークできるほどの高速域での身体能力が高い者ならば、その者の頑張り次第で、トレイルランナーとして成功できるポテンシャルを持つといえます。

このことから、トレイルを志すものは、むやみやたらとトレイルでの走りの「技術の修得」に走るのではなく、またむやみやたらと「ロードを長丁場走りこむ」のではなく、自身の高速域での基礎的な身体能力の向上を目指すことが、第一歩となると考えます。

初速を高め、それを維持せよ! ②初速を「維持する」ことについて、

Ⅱ 次に浅間峠までの22キロは速く走れても、残りの50キロが走れないのではダメ・・エネルギー切れ、スタミナ切れの出ない体力、71.5キロを初速のままに一気に走りきれるだけの体力が必要となります。
つまり・・スピードを落とさずに、8時間から10時間走り続けられる体力を養うこと・・・。これが次なる課題でしょう、このために一番手っ取り速いやり方は、実際にトレイルを相当な速さで、長時間走りこむことです。

浅間峠まで2時間40分の速さ(注 トップレベルの選手の場合)を、まず3時間、次に4時間、5時間と維持できるように訓練して、次第に時間を延ばして、8時間から10時間走りきれるほどに持久力をあげて行くのが近道です。

ところで、この訓練はきつく、疲労も激しく、月に(或いは年間に)何回も行えるものではありません。あまり追い込むと、疲労が残って、怪我や故障も起こります。体負荷が激しいトレーニングですので8時間から10時間トップスピードを維持できる程に持久力を養うには、1年では足りません。2年でギリギリ、まず3年は掛かると見てよいでしょう。

足掛け3年で、ようやく長丁場持つ体力を養うことが出来る!といった風に考えるのがいいと思います。一年や半年ぐらいですぐに結論を求めるのは、早急に過ぎるでしょう。この3年という年月は、けして長い期間ではないと考えています。

相撲に、「3年先の稽古」という言葉があるそうです。トレイルランニングのためのトレーニングも、3年先を見越して、頑張り続けて3年後にはじめて成果が出るといった具合に、時間をかけて取り組む姿勢が大切であると考えます。

この、WebSiteもハセツネを取り扱い始めて、今年で3年目になります。その3年目に、満を持して知り合いの幾人かのかたが、サブ12に挑戦されます。 本番での、御健闘を祈って止みません・・。


補完 71.5キロをトップスピードで駆け抜ける!
小河内自衛官に「浅間峠までは、残りの50キロでのスピードダウンを避けるためにある程度“守って“走るのですか?と尋ねると、そういう「守り」の発想自体を持っていないようでした。

つまり、トップスピードに近い速さで、71.5キロを駆け抜けるというわけです。
常人ならば、後半でスピードダウンするのを防ぐためにレースペースにひきづられること無く、前半は”守って”走る(そうしないと途中でダウンしてしまうケースが多い)のですが、浅間峠まで2時間40分で行けるほどの走力を持ったトップレベルの選手では、“守り“の走りという発想は持っていないようです。
思うにトップレベルの選手は実力が伯仲しているので、レースペースとなっても破綻が来ない範囲内の速さで競い合いが行われているのでしょう。

「初速を高めて、それを維持せよ!」 基本的走力の重要性

トレイルランニングにおいて速さの鍵を握るのは、基本的な走力(最大酸素摂取量)の有無です。登りや下りの「技術」は、二の次、三の次だと考えます。どれほどの技術を持っていても、基本的な走力がないと、それなりの速さしか得られません。それを判りやすく図表化したものが、以下です。

世間では何かと、技術、技術とテクニック偏重の傾向があるようです。トレイル雑誌で話題になるのは、まず「技術」であり、次に「装備」となっているようです。
でも、基本は、やはり、最大酸素摂取量を生かした「基本的走力(速さ)」いかんに関わります。そして、山耐の様な長丁場のレースとなると、速さを維持できるための「体力」を養うことが次なる課題となります。

私が重要と考える二つの課題、「基本的走力(速さ)」と「体力」・・これを一つにまとめると、「初速を高めて、それを維持せよ!」となります。

山耐公式 Ⅱ ( Hasetsune Formula Ⅱ )
5000m走のタイム   第一関門目標  タイム比率 1:0.95:1.3  ゴールタイム

5000m 15,16分  2時間40分   160:152:208   total 08h40min
5000m 17,18分  3時間10分   190:180:247   total 10h17min
5000m 19,20分  3時間40分   220:209:286   total 11h55min
5000m 21,22分  4時間10分   250:237:325   total 13h32min
5000m 23,24分  4時間40分   280:266:364   total 15h10min
5000m 25,26分  5時間10分   310:294:403   total 16h47min

山耐公式 Ⅰ ( Hasetsune Formula Ⅰ )
4キロ~5キロの荷物を背負って、青梅高水トレイルレースの8~9割(※)程度の速さで第一関門まで走ったタイム×3.25=目標となる山耐完走タイム(71.5キロフルに走れる持久力を備えた場合) 

初速※×3.25=目標タイム

______________________________________________________________________________________

山耐公式 Ⅱ ( Hasetsune Formula Ⅱ ) についての説明

基本These 「初速を高め、それを維持せよ。」

二つの目標・・「初速」を高めること、「維持」すること・・。

注 このTheseに関しては、「初速を高め、それを維持せよ!」 追補を参照されてください。

「初速」・・基本的走力に応じた浅間峠(第一関門)通過タイムを目指すこと。

5000m 15,16分  2時間40分
5000m 17,18分  3時間10分
5000m 19,20分  3時間40分
5000m 21,22分  4時間10分

※基本的な走力の基準としては、全国どこでもわかり易い5000m走のタイムを選んでいます。山岳走ですから、本来ならば標高差のある尾根の駆け登りタイムを基準に選んでもよかったのですが、ルートによって千差万別なので次善の策として、5000m走のタイムを基準にしています。

この課題に関しては、山岳走の運動特性に対応する心肺機能を身につけると容易だろうと考える。優秀なマラソンランナーだったら、普段から3、4時間の高負荷運動に慣れているから、トレイルに慣れることで比較的短期間で浅間峠まで2時間40分でアクセスできるようになろう。

ただし、最大酸素摂取量の壁があり、誰でもが5000mを15~16分で走りきれるようになれるわけではない。ある程度は先天的な素質が「初速」を左右する。
さらに、脂肪が高い者、上半身に筋肉がありすぎて重い者は、速く走れる身体(いわゆるランナー体型)へと体型を変化させることも努力の過程で要求される。

「維持」・・区間タイム比率 1:0.95:1.03 を目指すこと。

「維持」というのは、71.5キロにわたって「初速」の速さを維持して、長時間行動能力を養うことです。トップ選手の区間比率 (スタート→浅間峠):(浅間峠→月夜見第二):(月夜見第二→ゴール)=1:0.95:1.03 というのが、一つの目標にされるべき比率です。

初速が遅くとも、区間比率が 1:0.95:1.03 に近ければ、維持(持久力)の観点からは優れていると考えられます。この課題は、ひと言で言うならば非常に困難な課題です。10時間近くの長丁場を走ってへたれない体力を養成することは並大抵な努力ではありません。自分をそういう長時間の運動状況に置いて鍛えるしかないので、トレーニングに時間がかかり、おまけにトレーニング一回あたりの負荷・負担が高く、あまり繰り返し実践すると身体を壊してしまう恐れすらあります。

故障に気をつけて、充分な休養を間に入れて身体をメンテしながらトレーニングすることになるので、一年、二年の努力で実を結ぶとは限りません。下手をすると数年かかってしまいます。ウルトラマラソンや、トライアスロンなどの経歴がある方はそれらのスポーツで培った経験やノウハウが必ず役に立つことでしょう。

さて、「初速」を縦軸、「維持」を横軸として、一つの表を完成させることが出来ます・・。

山耐公式 Ⅱ ( Hasetsune Formula Ⅱ )
5000m走のタイム   第一関門目標  タイム比率 1:0.95:1.3  ゴールタイム

5000m 15,16分  2時間40分   160:152:208   total 08h40min
5000m 17,18分  3時間10分   190:180:247   total 10h17min
5000m 19,20分  3時間40分   220:209:286   total 11h55min
5000m 21,22分  4時間10分   250:237:325   total 13h32min
5000m 23,24分  4時間40分   280:266:364   total 15h10min
5000m 25,26分  5時間10分   310:294:403   total 16h47min

※ 第一関門目標タイムは、練習レベルの淡々と走ってのタイムです。本番での競い合い状況では、ややオーバーペースになりがちですのでこれよりも10分ほど速い通過タイムとなりましょう。
※ タイム比率は、第一関門目標タイムを基準に算出しています。選手の個人差によって、いろいろ幅が生じ得ますが、ここでは統一的に、1:0.95:1.3 で計算してあります。
※ ゴールタイムに関しては、1:0.95:1.3 を基準に試算した区間タイムの総和です。最終区間が強い選手の場合は、1.3 が 1.2 ぐらいとなり、ゴールタイムはもう少し早まるでしょう。

表の見方、「初速を高める」という点からは、一番上の・・
5000m 15,16分  2時間40分   160:152:208   total 08h40min
を狙うのが望ましいことはもちろんです。「維持する」という点からは、5000m走のタイム区分に応じて、左のトータルなタイム(ゴールタイム) よりも超過しないこと(タイム比率、1:0.95:1.3 以内に収まっていること)が望ましいということです。
収まっている場合には、少なくとも現在の初速レベルからは、維持(持久力)のほうは、人並み以上であり、申し分がないといえましょう。

たとえば・・
5000m 23,24分  4時間40分   280:266:364   total 15h10min

で、ゴールタイムが15時間10分以内で収まっておれば、4時間40分の初速に見合った、維持(持久力)がすでに申し分がないほど身についているということです。
一般的には、初速が遅ければ遅いほどに、ゴールタイムは遅くなる傾向にあります。これは、すなわち、後半に疲れが出て、あるいはバテて、後半に著しいペースダウンが生じたものと考えます。

______________________________________________________________________________________

山耐公式 Ⅰ (Hasetsune Formula Ⅰ ) についての説明

Ⅰ日本山岳耐久レースのスタート→第一関門までのタイム×1.1=青梅高水トレイルレースの平均的なゴールタイム
1.1HASETIME=TAKAMIZUTIME

Ⅱ青梅高水のスピード×青梅高水のタイム=27キロ(青梅高水の実際の距離:推測)
TAKAMIZUTIME=27÷TAKAMIZUSPEED

Ⅲ山耐のスピード×山耐の第一関門までのタイム=22キロ
HASETIME×HASESPEED=22キロ

以上 Ⅰ~Ⅲを計算すると・・

HASESPEED=22キロ÷HASETIME=22キロ÷(TAKAMIZUTIME÷1.1)

=22キロ÷(0.909TAKAMIZUTIME)

=24.20242÷TAKAMIZUTIME

=24.20242÷(27÷TAKAMIZUSPEED)

=0.8963TAKAMIZUSPEED

cf. トップランナーの場合

Ⅰ日本山岳耐久レースのスタート→第一関門までのタイム=青梅高水トレイルレースの平均的なゴールタイムとなります。 つまり、 HASETIME=TAKAMIZUTIME

HASESPEED=22キロ÷HASETIME=22キロ÷TAKAMIZUTIME

=22÷(27÷TAKAMIZUSPEED)

=0.8148TAKAMIZUSPEED
トップランナーの場合、青梅高水でのスピードが極めて速いので、山耐とのスピード差が大きく出ます。

さて、「速さ」というのはきわめて主観的なもので、8割とか、9割とか言ってもとても漠然としています。それを承知の上で、あえて、感覚的な数式として立てますと・・。

まとめ

山耐公式 Ⅰ ( Hasetsune Formula Ⅰ )

4キロ~5キロの荷物を背負って、青梅高水トレイルレースの8~9割(※)程度の速さで第一関門まで走ったタイム×3.25=目標となる山耐完走タイム(71.5キロフルに走れる持久力を備えた場合)

初速※×3.25=目標タイム

※初速=4キロ~5キロの荷物を背負って、青梅高水トレイルレースの8~9割(※)程度の速さで第一関門まで走ったタイム
※標準的なランナーは、9割が目安。

______________________________________________________________________________________

1:0.95:1.30 について若干の補足説明

0.95について

☆ 0.95に関しては、この値を動かす必要は感じていません。

あえて言うと、許容範囲は、0.95±0.02 ぐらいであると言うこと。
0.91 とか、0.92 であるとか、0.93 よりも低い数値である場合は、最初の区間を押さえすぎであると考えます(この点については、かげマルッさんのところでいただいた氏のコメントが役に立ちました)。
同様に、0.98 や 0.99 である場合は、最初の区間を突っ込みすぎであると考えます。

1.30 について

① 1.30 と言うのは厳密には、1.27 ぐらいなのですが、覚えやすく、また現場で暗算しやすいように、また、あまり数を減らすと逆算の際に「初速」の値が遅くなり、予定タイムをオーバーする恐れがあること・・と言った理由で1.30 としてあります。

②後半の金毘羅尾根で飛ばせるランナーの場合は、飛ばした結果として、1.30 が 1.20 とかになることもお含みおきください。でもそれは、いわば結果としてのお楽しみであり、事前にペース計算をする場合は、1.30 で計算するほうが無理がこないでしょう。

③こんな風に、微妙な匙加減で、1.30 を選んでいると言うわけです。

④また、射程範囲が広いミドルレンジ・セオリー(中間射程理論)として、1.30の値を選んでいます。この値で、一通り、8時間台から、平均的なゴールタイムである16時間前後ぐらいまでを充分にカバーできると考えております。

☆7時間台や、8時間台前半(8時間30分以内)を狙う方で、試走してみて、大岳から先の区間、とりわけ金毘羅尾根でかなり確実に飛ばせると考えた方は、1.30 の代わりに1.20あたりを用いて事前の目標タイムを計算してみるのもよろしいでしょう。

8時間30分(510分)÷3.15=161.9 (約162分 浅間峠進入目標タイム)
8時間30分(510分)÷3.25=156.9 (約157分 浅間峠進入目標タイム)

1.20 を用いて、3.15 で計算すると、いわゆる「初速」は5分ほど遅くてよいことになります(その分、金毘羅尾根で余裕がないわけです)、こんな風に違ってきます。予期せぬ身体の変化が起こることもありえることでそれを踏まえますと、やはり、従来からの1.30 での計算が無難だと考えます。

最大酸素摂取量の極大化

ここ2年ばかり、日本山岳耐久レース関連で、山を走る機会が大幅に増えた。また、知り合いに、ランナーも増えた。

長距離を走るのと、上半身の筋肉を維持するのとは、両立しにくいように思える。
ここ2年で、上半身の筋肉量が少し減ってしまったように感じている。

だから、最近は、フリーウェイトで、積極的に、筋力トレーニングを実施している。

上半身に筋肉をつけると、当然に体重が重くなり、筋肉が増えた分、最大酸素摂取量が落ち、走りのスピードも落ちてしまう。マラソンランナーのオリンピック選手などは、まるで難民(?)のようにやせ細っているが、あれはあれで最大酸素摂取量を極大化して速さを追求する究極の形で意味があるのである。

さて、とりあえず、話をトレイルランニングに絞ると、筋力的には、せいぜい5キロの荷物を背負って山を走れるだけの上半身・体幹の筋力があれば足りよう。それ以上の筋力は、極論すると、お荷物となろう・・。

最大酸素摂取量を高めるための工夫・・ポイントは、体重を軽くすること

1 上半身の軽量化、余分な筋肉は落とす、
2 脂肪のそぎ落とし 

これを基本として、次にトレイルを走りこんで「技術」・「持久力」を身につけることが必要になると考える。

(・・ただし、以上は、トレイルランニングのための方法論であって、冬期登山も含めた、きちんとした登山をやりたい人は、古典的な重荷で鍛えるのが、セオリーでありますので念のため・・。)