浅間峠までの所要時間× 3.25= 目標ゴール時間 区間時間配分比率 1:0.95:1.30 の話 (2)

以下、きわめて基本的な内容ですが、簡単にまとめておきます。
この内容は、山耐に限らず、全てのトレイルランニング、トレイルレースに関係してくるものだと考えています。
 
心肺機能のゆとり、余裕

サブ3、すなわちフルマラソンを3時間以内で走りきるには、時速14キロ強の速さで、42.195キロを走らねばならないが、そのためには、普段のトレーニングでも、せいぜい最高時速14キロ~15キロぐらいで走っておればよい、・・とは言えないだろう。

サブ3ランナーはいわゆるスピードトレーニング、1000m走、400m走も(当然)行っているはずであり、彼らが5000mを走れば、きっと15分~16分台で走りきれるはずである。 この場合、時速19キロ~20キロで、5000mを走っている計算となる。

つまり、時速19キロ~20キロで5000mを走れる人が、フルマラソンでは、ペースを時速14キロ強に落として42.195キロを走り通してサブ3を達成する。
この場合、時速19キロ~20キロで5000mを走れると言うのは、心肺機能のゆとり、余裕を意味すると考える。

①最高速度が時速15キロぐらいのランナーが、自身の最高速度に近い速さを維持して42.195キロを走り切り、サブ3を達成する場合と、②最高速度時速20キロのランナーが、余裕の時速15キロで走ってサブ3を達成する場合を比べると、②のほうが、より「ゆとり」を持って42.195キロを走ったと言えるはずである。

 

5000m走のタイムが速い選手=最大酸素摂取量が高い選手=長丁場のトレイルレースで有利

記事において私がしばしば掲げる5000m走のタイムと言うのは、いわゆる最大酸素摂取量の値(vomax値)に置き換えてもよいと思っている。
登山において、最大酸素摂取量が高いと言うのは、登りにおける、余裕、ゆとりを意味する。
集団での登山において、一定のスピードで登る場合は、この最大酸素摂取量が高い登山者のほうが、よりゆとりを持って登っているはずである。

トレイルランにおいても、最大酸素摂取量が高い選手は、そうでない選手よりも、ゆとりを持って登りの区間をクリアすることができ、この登りの区間のゆとりは、続く下りの区間や、平坦な区間において、それだけ余裕を持って挑めると言うことにつながる。言葉を換えると、本来の自分のパフォーマンスに近いものを発揮できることになる。

そして、この余裕は、レースのトータルでの疲労の減少に役立ち、山耐の様な長丁場のレースにおいては後半のバテの減少、スピードアップにつながり、ゴールタイムの短縮に直結する。

こんな風に、最大酸素摂取量が高い選手はそれだけ有利なのである。

だから、心肺機能面に限って言うならば、最大酸素摂取量が高い選手(=5000m走のタイムが速い選手)は、山耐のゴールタイムが、最大酸素摂取量が低い選手よりも良いタイムとなるのは、当然の結果と言えよう。

 

5000m=35分(or more)での巡航

さて、話を山耐に絞って、このレースでサブ8を達成するには、浅間峠→月夜見第二駐車場の区間(およそ20キロ)を、2時間20分で走りきらねばならない。 すなわち、5キロ=35分の速さである。

アップダウンが続き、路面状況も変わる5キロのトレイルを35分で走り切るには、走りやすく平坦なロードで、5000mを15分、16分で走り切れるほどの基本的な走力(別な表現を使うならば、それに見合った最大酸素摂取量の高さ)が、心肺機能のゆとりとして必要だと考える。
 
つまり、走りやすく平坦なロードで、5000mを15分、16分で走り切れるほどの基本的な走力(最大酸素摂取量の高さ)を持っている選手が、山耐の状況(すなわち、①一部荒れたハイキングルート、②荷物3キロ前後背負う、③午後1時スタート、4時間後に日没、④全行程71.5キロ)で、そのパフォーマンスを発揮すると、5000m=35分(or more)での巡航となると考えるのである。

もし、山耐の路面がもっと荒れたら、当然、巡航スピードも落ちるだろうし、もっと走りやすくなったら、巡航スピードは上がるだろう。当然、山域によっても異なる、例えば、奥秩父の登山道は、ハセツネルートのように走りやすくはないから、巡航スピードは落ちる。八ヶ岳や南北アルプスでも同じことである。

ちなみに、ゴールタイムそれぞれの巡航スピードの目安と最大酸素摂取量は以下のようになる。

サブ8  トレイルの5000m=35分   ロードの5000m=15分~16分ぐらいの最大酸素摂取量が必要
(12分間走で3750mを走らねばならない。)

サブ10 トレイルの5000m=42.5分 ロードの5000m=17分~18分ぐらいの最大酸素摂取量が必要
(12分間走で3333mを走らねばならない。)

サブ12 トレイルの5000m=50分   ロードの5000m=19分~20分ぐらいの最大酸素摂取量が必要
(12分間走で3000mを走らねばならない。)

 

山耐における三つの速さについて

長丁場のトレイルレースのゴールタイム(速さ)を左右する要因には主に三つあり、それはいずれも速さにひきなおして考察されるべきであろう。

①心肺機能としての速さ・・最大酸素摂取量のゆとりがあるか?と言うこと。これはレース全般に亘って影響する。

②筋持久力としての速さ・・71.5キロを走りきれるほどの脚筋が鍛えられているか?と言うこと。要するに後半まで足が持つか?と言うこと。
③消化器系の強さとしての速さ・・レース中の補給を消化器系がエネルギーに転換してゆけるか?と言うこと。胃腸が弱いともどしてしまったり、エネルギーが補給できないので後半にばてる。

この記事で主に書いてきたのは、①の速さに関してです。選手によっては、②、③に問題を抱える方がいらっしゃるのは皆様ご存知の通り。

①、②、③と三拍子揃った選手は少なく。高いポテンシャルを備えながらも①、②、③の速さを鍛え上げる過程で、怪我故障に苦しみ、せっかくのポテンシャルを発揮できないままでいる方もたくさんいます。(怪我や故障がすくなく、効率的で無駄がない、よいトレーニング方法が情報として共有されるべきです。)

この、①、②、③と三拍子揃ってはじめて、例の「初速を高めて、それを維持」することも可能となるのであり、区間タイム比率の、20:19:17:9 もしくは 1:0.95:1.30 という数値も意味を持って来るのです。

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区間時間配分比率 1:0.95:1.30 の精緻化  20:19:17:9 について、

今年のゴールシーンで、知り合いを待っていた時に感じたことは、サブ12のランナーが目の前にぞろぞろとゴールしている様子だった。あれだけ立て続けにゴールされるのでは、サブ12のハードルも相当に低くなったと言えるだろう。
知り合いのゴール少しまえに女性二人が仲良くゴールしていたが、これもまた見た目にそれほど凄く走りこんでいるランナーのようには見えず、ごくごく普通の女性トレイルランナーのように見えた。

もう今の時代、サブ12と言うのは、ごくごく普通のランナー(男性女性を問わず)でも出せるタイムなのであろう。

今後は、サブ10と言うのが、熱心な(一般)トレイルランナーのひとつの指標となるべき値である。
もっとも、そのサブ10と言うのも、野村選手(女性3位)のデータ解析 に書いたとおり、3時間10分ぐらいで浅間峠に入れるくらいの速さを持っている方ならば、あとは、速さよりも、長丁場の持久力を養うこと、そうすることにより、比較的簡単に乗り越えられるハードルであると考えている。

・・となると、いつかかげマルッツさんや、s@toshi さんからご教示いただいたように、8時間30分~9時間あたりが、系統的にランニングをマスターして無駄なく鍛え上げてきた選手が、まずはじめに達するレベルであり、本当の課題はその先にある、ということになるのであろう。

上のほうはこんな感じであるが、もっとも、現実には、サブ12レベルで私の忠告など無視して、旧態依然の「突っ込み重視で切り込む自滅ランナー」があとを立たない。(浅間峠に3時間10分ぐらいで入り込んだのは立派なのですが、その速さを維持できず、ペースダウンしてしまう。)

これは、レース経験不足であるとも言えようし、(失礼ながら)自分の力を過信しているともいえるだろう、あるいは、行き当たりばったり作戦とも表現できるだろう。

所詮、アマチュアレースだからしょうがないともいえるんだけれども、きちんと考えて鍛えて、走っているランナーはますます先に行ってしまい、自分勝手なプランニングでテキトーに取り組んでいるランナーはいつまでたっても目の前のハードルを越せないと言うことになる(ある意味で、山耐でも格差社会が広がることになりそう・・。)。

そういうことがないように、あまり突っ込みはしないで、ペースを守って、走り抜けてほしいものだと思っている。
(もちろん、ハセツネをどう料理するか?タイムを狙うか?時間はともかく完走を目指すか?は、参加する機会に恵まれた選手各人の自由でありますが・・。)

1:0.95:1.30
さて、ようやく本題である。第二関門からゴールまでの1.30の内訳についていままで触れてきませんでしたが、これはあくまでも、ハセツネルートを巨視的に3分割して捉えようとしたためです。

実際、第二関門からあとは、せいぜい30キロ弱であり、(確かに、御前山の登りはありますが)一気に駆け下るイメージで臨むのが正しいと考えています。

でも、たまには、もう少し細分化して検討してもよいだろうと思い、ここでは第二関門→第三関門:第三関門→ゴール間の区間比率を検討します。

まず有名ランナー数名の方の当該区間の比率を求めます。

24 3894櫻井 教美 5:23:33 女
23 3894櫻井 教美 7:38:42 女
24 3894櫻井 教美 8:54:07 女

2:15:09  135分
1:15::25  75分

{1.30÷(135+75)}×135=0.8357
{1.30÷(135+75)}×75 =0.4642

区間比率 84:46

45 4716間瀬 ちがや 5:42:39 女
41 4716間瀬 ちがや 8:12:00 女
43 4716間瀬 ちがや 9:37:55 女

2:29:21 (149分)
1:25:55 (86分)

{1.30÷(149+86)}×149=0.82425
{1.30÷(149+86)}×86=0.475744

区間比率 82:48

32 204山本 健一 4:48:09アドレナリン男
12 204山本 健一 6:41:00アドレナリン男
12 204山本 健一 7:39:16アドレナリン男

1:52:51 (113分)
58:16   ( 58分)

{1.30 ÷(113+58)}× 113 =0.85906
{1.30 ÷(113+58)}× 58 = 0.44093

区間比率 86:44

54 001鏑木 毅 4:53:05THE NORTH 男
34 001鏑木 毅 6:42:07THE NORTH 男
24 001鏑木 毅 7:44:55THE NORTH 男

1:49:02 (109分)
1:02:48 (63分)

{1.30÷(109+63)}×109 =0.8238
{1.30÷(109+63)}×63  =0.47616

区間比率 82:48

7 4671渡辺 千春 5:01:25VASQUE男
7 4671渡辺 千春 7:09:03VASQUE男
7 4671渡辺 千春 8:19:26VASQUE男

2:07:38(128分)
1:10:23(70分)

1.30÷(128+70)×128=0.8404
1.30÷(128+70)×70=0.45959

区間比率 84:46

以上、5名の方の区間比率の平均値は
83.6:46.4 → 84:46  簡略化 85:45

まず、記事、Hasetsune 2008 補遺  サブ8のために、トップ3名のデータ分析に書いたように、渡辺選手、櫻井選手の区間比率は、1:0.95:1.30 にきわめて近いので、お二人の区間比率を重視して考えます。

そうすると 84:46 と言うのが整数での値としてはよさそうです。

ただ、このままでは、すこし数が細かすぎて、使い勝手が悪いです。
そこで、暗算の便や、大雑把なイメージとして使える数値を考えますと・・。

 85:45 が適当であろうと考え付きました。(5で割れますし・・^^v)

そうすると・・

1.30→0.85:0.45 であり

1:0.95:1.30→100:95:85:45=20:19:17:9

以上のような流れで上の数値が出てくるわけです。

山耐公式 Ⅲ 20:19:17:9 (Hasetsune Formula Ⅲ) 

適用例

ハセツネ11時間台を目指す場合は、各項に11を掛ける  220:209:187:99  合計715分 11時間55分 
ハセツネ10時間台を目指す場合は、各項に10を掛ける  200:190:170:90  合計650分 10時間50分
ハセツネ 9時間台を目指す場合は、各項に 9を掛ける   180:171:153:81  合計585分  9時間45分 
ハセツネ 8時間台を目指す場合は、各項に 8を掛ける   160:152:136:72  合計520分   8時間40分

と目指すべき区間タイムをはじき出す計算も楽で、暗算が容易です。

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山耐公式( Hasetsune Formula ) まとめ

山耐公式 Ⅰ ( Hasetsune Formula Ⅰ )

4キロ~5キロの荷物を背負って、青梅高水トレイルレース(公称35キロコース)の8~9割(※)程度の速さで第一関門まで走ったタイムを初速とする、初速×3.25=目標となる山耐完走タイム(71.5キロフルに走れる持久力を備えた場合) 

初速※×3.25=目標タイム

※標準的なランナーは、9割が目安。

山耐公式 Ⅱ ( Hasetsune Formula Ⅱ )

5000m走のタイム   第一関門目標  タイム比率 1:0.95:1.3  ゴールタイム

5000m 15,16分  2時間40分   160:152:208   total 08h40min
5000m 17,18分  3時間10分   190:180:247   total 10h17min
5000m 19,20分  3時間40分   220:209:286   total 11h55min
5000m 21,22分  4時間10分   250:237:325   total 13h32min
5000m 23,24分  4時間40分   280:266:364   total 15h10min
5000m 25,26分  5時間10分   310:294:403   total 16h47min

山耐公式 Ⅲ ( Hasetsune Formula Ⅲ ) 

区間タイム比率 20:19:17:9

適用例
ハセツネ11時間台を目指す場合は、各項に11を掛ける  220:209:187:99  合計715分 11時間55分 
ハセツネ10時間台を目指す場合は、各項に10を掛ける  200:190:170:90  合計650分 10時間50分
ハセツネ 9時間台を目指す場合は、各項に 9を掛ける   180:171:153:81  合計585分  9時間45分 
ハセツネ 8時間台を目指す場合は、各項に 8を掛ける   160:152:136:72  合計520分   8時間40分
・・それぞれ目指すべき区間タイムが算出されます。

野村選手(女性3位)のデータ解析

※ この記事は、下書きのままに眠っていた記事です、このまま非公開にしておくと、いずれ消してしまうので、いまのうちに公開しておきます。

今年の女性3位の野村選手のデータはサブ10達成のお手本のようなものですので、男性選手にも役に立つと考えます。
ここで紹介して検討しておきます。

第15回日本山岳耐久レース データ分析 2  先行逃げ切り型、後半追い上げ型の区間基準値

にて、私は後半追い上げ型でサブ10狙いの場合の区間基準値として、以下のように書きましたので、ここではその検証も兼ねております。

後半追い上げ型でサブ10狙いの場合の区間基準値

サブ10狙いの場合
第一区間を3時間15分 第二区間は3時間 第三区間(第二関門→ゴール)を3時間45分・・この配分が基準になると思います。
この後半の第二関門→ゴールの3時間45分を出せそうにない場合には、サブ10は難しくなります。

実際の例で考えますと去年の50代男性の部の優勝者 相馬さんの去年のデータがこれに近いです。

83 5011 相馬 宇民 3:11:28 ランベル 男
39 5011 相馬 宇民 6:09:15 ランベル 男
27 5011 相馬 宇民 8:35:22 ランベル 男
26 5011 相馬 宇民 9:52:41 ランベル 男

第一区間3時間11分、第二区間2時間58分 後半にかなり伸びています。
そして第三区間(第二関門→ゴール間)のタイムは、3時間43分・・ほぼ上の基準値に近いデータです。

ではお待ちかね、
野村選手(女性3位)のデータ

3:08:45
6:05:16
8:31:00
9:47:40

初速(第一区間) 3:08:45 (189分)
189分×3.25=614.25(10時間14分15秒 ゴールタイムの上限)

第二区間 2:58:31(179分)
第三区間 3:42:24(222分)

比率は・・189:179:222=1:0.947:1.1746
後半に伸びていて、見事3位を獲得されておられます。

パターン的に上に掲げた相馬宇民選手のデータにきわめて似ています。

このように相馬宇民選手、野村選手ともに、後半追い上げ型の好例です。

私がよく書いているように9時間台を達成するためには、2時間台で浅間峠に入る必要はサラサラないことが、
お二人のデータからよくわかると思います。

以前は、相馬選手のデータだけでしたが、今年の野村選手のデータが加わり、論拠がより堅固なものになりました。

追補

この記事を書いたあとに、私のブログを野村選手がご覧になり、畏れ多くもmailをいただけましたので、内容追加します。
いただいたメールによりますと、ご本人はすこし違った印象をお持ちだそうです。つまり、最初から狙って、浅間峠に遅く入ったのではなく、前後のペースに引きずられる形となり、結果として浅間峠に入るのが遅くなってしまったそうです。

①今回が、初参戦であること。

②同レベルのランナーに比べると相対的に登りが比較的弱く、下りが強いのですが、登りを基調とする浅間峠までは、登りでペースを同じくする集団が固まり、下りで渋滞し足踏みをする場面などもあり、自分本来の速さを発揮出来なかったそうです。

③そして、浅間峠から先は、前後が比較的ばらけてきて・・登りで追いつかれて、下りで引き離す本来のパターンに戻ってきたそうです。

※ つまり、必ずしも最初から後半追い上げを意識したのではなく前半はやむを得ずペースダウンしてしまったが、結果としてはうまく走りきれたそうです。

女性5位の鈴木選手と比較してみます。 

鈴木選手   女性5位      野村選手  女性3位

3:07:37            3:08:45

6:05:19            6:05:16

8:33:52                           8:31:00

9:57:22                           9:47:40

お二人は、第三関門までほぼ同じペースで走っています。2分差の長尾平以降、ゴールまでの区間を、鈴木選手は、1:24:30 かかり、野村選手は 1:16:40 でクリアされています。実に7分50秒もの差が第三関門~ゴールまでのあいだについたことになります。

ちなみに、間瀬選手 女性2位 は・・

2:53:14
5:42:39
8:12:00
9:37:55

長尾平からゴールまでは、1:25:55 かかっており、野村選手の 1:16:40 に比べると、野村選手の追い上げは歴然です。 

区間比率的には、 1:0.9768:1.358 と間瀬女王はペースダウンの傾向にありました。

間瀬選手の場合、浅間峠までの初速が相当に速いようです。去年のタイム検討でも感じたのですが、この初速を相当に飛ばすのが間瀬選手のパターンであるようです。

初速を相当に飛ばすので、間瀬選手の場合、第一区間と第二区間とのタイム比率は、イーブンに近くなります。

間瀬選手と同じく、第一区間と第二区間をイーブンタイムに持ってくる選手に、星野緑(旧姓 船橋)選手がいます。

星野緑選手

3:02:20
6:01:31
8:30:55
9:57:11

区間比率は、 1:98635:1.2967

第一区間と、第二区間はほぼイーブンタイムです。と言うことは、第一区間を飛ばした、あるいは、第二区間ですこしペースを落としたと言うことになります。タイム的には、前者であろうと考えられます。

ちなみに、鈴木選手の区間比率は、 1:0.95:1.23 です。

野村選手は上にも書きましたが、   1:0.947:1.1746 です。


総括してみます・・

1位 櫻井選手は1:0.96:1.27
2位 間瀬選手は1:0.9768:1.358
3位 野村選手は1:0.947:1.1746 
4位 星野選手は1:0.98635:1.2967
5位 鈴木選手は1:0.95:1.23

間瀬選手と、星野選手は、浅間峠までかなり飛ばすタイプ、その分第二区間との比率が1:1に近くなります。いってみれば第一区間と、第二区間とが、イーブンタイムです。

櫻井選手、野村選手、鈴木選手は、ほぼ、私がよく使う、1:0.95:1.30 に近く、第三区間で相当に飛ばしているので、実際には1.30の値よりも少なくなっています。

関連記事 ハセツネCUP 2008 補遺  サブ8のために、トップ3名のデータ分析

ハセツネCUP 2008 補遺  サブ8 を狙うランナーのために、トップ3名のデータ分析

昨日、下の記事を書き上げて、さぁ!これでしばらくは、山耐とはおさらばさ・・バイバイ!
と思い込んでいたところ、

やはり、書き残していた記事があった。

補遺Ⅰ

山耐データ分析 3  sub8への展望

にて、私は、以下のように書いた。


まとめますと・・sub8達成のためには、

スタート→浅間峠 2時間30分+α

浅間峠→月夜見第二 2時間20分

月夜見第二→ゴール 3時間10分以内

・・とこのようなペース配分が目安となるようです。

では、今年のサブ8達成3選手のデータを振り返ってみよう・・。

+++++スタート→浅間峠まで+++++浅間→月夜見まで++++++月夜見→ゴールまで
山本選手 2時間29分47秒(約150分) 2時間19分22秒(約139分) 2時間51分07秒(約171分) 
横山選手 2時間24分40秒(約145分) 2時間21分01秒(約141分) 2時間59分14秒(約179分)
鏑木選手 2時間33分11秒(約153分) 2時間19分54秒(約140分) 2時間51分50秒(約172分)

比較

山本選手と、鏑木選手は、ほぼ、150分+α で浅間峠に入っています。山本選手は、正確には、13秒マイナスですが、まぁこの差は、無視していいでしょう。横山選手だけ、初速が145分と5分ほど速いです。

で、月夜見第二までは、3人とも、140分±1分で進入

最後にゴールまでは、3人とも、いとも簡単に、3時間を切っています。3時間を切るのは難しいと考えていたので、この区間の速さは、わたしも想定外でした。

スタート→浅間峠 2時間30分+α   

150 山本選手 

145 横山選手

153 鏑木選手

浅間峠→月夜見第二 2時間20分   

139 山本選手

141 横山選手

140 鏑木選手

月夜見第二→ゴール 3時間10分以内

171 山本選手

179 横山選手

172 鏑木選手

第三の区間(月夜見第二→ゴール)で、横山選手が失速しなければ、横山選手が、トップで優勝していたでしょう。横山選手の失速原因は不明です。

まとめ

ほぼ、私が書いたとおりの各区間の時間配分になりました(単なる自慢!・・爆)
横山選手だけ、最初を2時間25分ですが、後半に失速?されておられ、5分の貯金を失っておられます。
山本選手は、鏑木選手を真似てか?後半追い上げ型で攻めて、今回の栄冠を手にされたようです。

ですので、来年サブ8達成を狙っている方々(特に、遠ちゃんと仲間の二人!この記事はほかでもない、キミたち「ハンサム団」のために書いているのだぞっ!爆)には、とりあえず浅間峠までの「初速」は、2時間30分(150分)で抑えて、次の区間も2時間20分(140分)で済ませ・・最後の月夜見第二からゴールまでを3時間以内で走りきれる速さを養うことが肝要になりましょう。

言うなれば、後半追い上げ型のサブ8スタイルと言うわけです。

これが今後、手堅くサブ8を達成する場合の、お約束の時間配分となりそうですね。

ただ、来年度以降は、単純に7時間50分台を出しても前には、たぶん横山選手や、鏑木選手、山本選手たちがいますので、3位以内には入れそうもありません・・。 厳しい時代になりつつありますね。

補遺Ⅱ

もうひとつ自慢話を書いておきましょう・・。

わたしがくどいほどしつこく書いている区間比率 1:0.95:1.30

今年の櫻井選手は、これに近いようです・・。

かげマルッさんの所の記事によると・・。
ああすればよかった山耐反省レポ [トレラン・レース] [編集]

 2:45(100%) 2:39(96%)  2:15(82%)  1:15(46%) ←Queen Sさん 8:54

だそうです。

2:15+1:15=3:30(210分)
210分÷2:45(165分)=1.27…  となるので、 

100:96:127 (1:0.96:1.27) となり、 ほぼ  区間比率 1:0.95:1.30 に近いです。

私が書いたとおりだ!!(・・と単なる自慢!!でした)

自慢のダメ押しで・・最後の1.30というのは、実は、1.27ぐらいなんだけれども、暗算の便宜と、微妙なさじ加減でわざと、1.30にしてあると言うのは、既に何度も書いており、ご承知のとおり、となると、女王のタイム比率は、ますます、私の計算値に近接してきます。

以上、二つの補遺から推して、私のハセツネ関連記事も、まんざら、出鱈目ばかり書いてあるようではなさそうです・・・微笑!!


おまけ

ただ、山耐が有名となり、世界レベルの選手が出てくると、優勝タイムも7時間30分以内となってこよう。日本のトップの選手も、単に優勝に甘んじるのではなく、また、感傷に耽るのではなく、はやくその域の速さに達しないと、力ある海外の選手にハセツネカップを持っていかれてしまうだろう。

鏑木選手の活躍や、韓国の選手のタイムを見ると、ハセツネレベルでは、サブ8でないと、外国では戦えないのでしょうね。国内のレースで、狭い視野で、勝った負けたと一喜一憂することなく、ハンサム団(はじめ、若く可能性がある20代)の方々には、広い視野で、一気にサブ8の壁を突き破って、世界に羽ばたいて行って欲しいと思っています。

追補

渡辺選手・・かげマルッツさんのお知り合いの方のデータ

2:34:36
5:01:25
7:09:03
8:19:26

第一区間 2:34:36 約154分
第二区間 2:26:49 約147分
第三区間 3:18:01 約198分

区間比率  154:147:198=1:0.954:1.2857
ほぼ 1:0.95:1.30 に近い値です。
第三区間で、他のクラスのトップ選手は、もう少し飛ばすようですが、ペースを維持して走りきったのだと考えられます。

1:0.95:1.30 について若干の補足説明

1:0.95:1.30

私は、スタート→浅間峠:浅間峠→月夜見第二:月夜見第二→ゴール の所要タイム比率の目安として、1:0.95:1.30が妥当だと考えていますがその補足説明です。

0.95について

☆ 0.95に関しては、この値を動かす必要は感じていません。

あえて言うと、許容範囲は、0.95±0.02 ぐらいであると言うこと。
0.91 とか、0.92 であるとか、0.93 よりも低い数値である場合は、最初の区間を押さえすぎであると考えます(この点については、かげマルッさんのところでいただいた氏のコメントが役に立ちました)。
同様に、0.98 や 0.99 である場合は、最初の区間を突っ込みすぎであると考えます。

1.30 について

① 1.30 と言うのは厳密には、1.27 ぐらいなのですが、覚えやすく、また現場で暗算しやすいように、また、あまり数を減らすと逆算の際に「初速」の値が遅くなり、予定タイムをオーバーする恐れがあること・・と言った理由で1.30 としてあります。

②後半の金毘羅尾根で飛ばせるランナーの場合は、飛ばした結果として、1.30 が 1.20 とかになることもお含みおきください。でもそれは、いわば結果としてのお楽しみであり、事前にペース計算をする場合は、1.30 で計算するほうが無理がこないでしょう。

③こんな風に、微妙な匙加減で、1.30 を選んでいると言うわけです。

④また、射程範囲が広いミドルレンジ・セオリー(中間射程理論)として、1.30の値を選んでいます。この値で、一通り、8時間台から、平均的なゴールタイムである16時間前後ぐらいまでを充分にカバーできると考えております。

☆7時間台や、8時間台前半(8時間30分以内)を狙う方で、試走してみて、大岳から先の区間、とりわけ金毘羅尾根でかなり確実に飛ばせると考えた方は、1.30 の代わりに1.20あたりを用いて事前の目標タイムを計算してみるのもよろしいでしょう。

8時間30分(510分)÷3.15=161.9 (約162分 浅間峠進入目標タイム)
8時間30分(510分)÷3.25=156.9 (約157分 浅間峠進入目標タイム)

1.20 を用いて、3.15 で計算すると、いわゆる「初速」は5分ほど遅くてよいことになります(その分、金毘羅尾根で余裕がないわけです)、こんな風に違ってきます。

予期せぬ身体の変化が起こることもありえることでそれを踏まえますと、やはり、従来からの1.30 での計算が無難だと考えます。

女性ランナーへのアドバイス

山耐に参加する女性は、ウルトラマラソンの経験者であるとか、トライアスリートであるとか、とにかく普通の男性顔負けの走力の持ち主であるケースが多いので、余計なお世話でしょうが、初めて参加される人向けに、余計なアドバイスをいくつか書いておきましょう。

軽量化

まず、徹底的な、荷物の軽量化を図ります。筋力が一般に男性よりも劣るといわれる女性にとって、軽量化は、必須の課題でしょう、荷を軽くすればその分速く走れるのは、当たり前の話しです、また、着地衝撃による身体への負担による疲労の発生を減らせます。よって、すべての持ち物について、徹底的に吟味してグラム単位の軽量化を図るべきです。荷物重量は、4キロ以内が理想です。出来れば、3キロ以内に抑えたいものです。

(例)
水2000ml
ザック300g
食料500g
防寒衣料、雨具500g
ライト200g ・・合計3500g

☆個人差はありますが、食料、水などはまだまだ減らせる筈です。
☆ザックの余計なスリングを切り取ったり(お約束)、商品タグを取り除いたり(お約束)、フラスクを利用して食料をまとめたりあれこれの手段を講じて軽量化を図ります。

ストック

去年の女性準優勝者、今夏行われたトランスジャパンの完走者、星野(旧姓 船橋)緑さんはダブルストック使いで有名です。上半身の筋力を使って、上手に速く71.5キロを走りきる。このスタイルも女性ランナーのあるべき形の一つなのかもしれません。

ただし、念のため書いておきますが、星野緑さんは、浅間峠まで3時間!ストックを使わなくっても、基本的な走力が相当に高い選手なのです。

手袋

トレイルでは、岩をつかんだり、立ち木をつかんだり、鎖場で鎖を握ったりと、いろいろと手が活躍します。手の保護に手袋は有効ですので、長丁場の山耐では、絶対に手袋を使用しましょう。来年の青梅高水トレイルランでは、手袋着用が義務つけられているようです。
もちろん、万が一の転倒の際にも手袋をした手を使ってバランスよく着地すれば、大きな怪我は避けられるはずです。

手袋をしないでトレイルを走ると、かなり手が荒れるようです。手袋の効果は、女性に限った話ではありませんが、女性ランナーは手袋をしたほうがよろしいでしょう。

手を使って登るというのは、奥宮さんの記事にもあります。こういう作戦は女性には、かなり有効ではないでしょうか?そしてその場合、手袋を着用したほうが手を傷つけなくっていいと考えます。

ハセツネ攻略走!第3回:坂道の走り方
より引用・・

①障害物の利用
木や岩、根等の障害物を手で掴んで体を引き寄せ、その後、手で障害物を押すようにすると、グンッグンッと楽に登れます。(イメージつくでしょうか?)

②ロープやクサリの利用
ロープやクサリは、うまくたぐるようにすると、腕の力だけで登ることができます。
→急な登りで足の披露回復ができる!

ベルト

トレイルランでは、着地衝撃がロードよりも激しいから、着地衝撃を体幹で吸収して、上半身をぐらつかせないために、強い腹筋が必要とされます。
腹筋が人よりも弱い方(特に女性)は、ベルトを使うことで腹筋の弱さをある程度カバーできます。

腹に力を入れることは、ベルトでウェストを締め上げることで容易になります。
ランニング用の半ズボンのゴムを強くするとか、いろんな手段があると考えますが、一番手っ取り早いのは、ベルトを使用することです。

ベルト着用の効果は、特に下りの場面で顕著に現れるでしょう。
ためしに、ベルトあるなしで駆け比べてみたらいかがでしょうか?
私の場合は、ベルトがあるほうが、体幹の姿勢が、維持しやすくなり、結構楽に速く駆け下れるように感じています。

女性選手は、サブ12が難しいか?

去年のデータで、女性選手でサブ12だった方は、女性完走者170名中たったの7人!
ちなみに、全完走者1540人中、サブ12の選手は男性女性併せて176名
つまり、サブ12を達成した176名の中で女性は7人だけだったということになります。

比較の対象として、青梅高水トレイルレースの女性完走者124名のなかで、3時間40分以内の完走者は、10人、4時間以内の完走者は、15人となります。これくらいで走れる方でしたら、持久力次第でハセツネのサブ12は可能だと考えています。

以前、あの久原(旧姓 原)真理子さんの登り方を見たことがありますが、この方の場合、背筋を伸ばしショートステップで、小刻みに登ってゆきます。姿勢も階段を登るような、膝を割りと高く上げたものでした。
筋力が男性よりも劣るといわれる女性の場合は、登りの場合、ロングストライドは避けて、ショートステップで、小刻みに稼いで行くのがいいのかもしれません。そうすると、筋力的な負担は最小限になるようです。

そうすれば行き着くところ、登りの「速さ」は、その人それぞれの有酸素運動能力次第となりましょう。

平坦なところや、下りでは、女性も男性もたいした差はないように考えます。要するに、自分の体重を支えて走ってゆくのですから、男女差はさほど生じないのではないでしょうか?

さて、今年の女性完走者のうち何人の方が、サブ12を達成されるでしょうか?

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A 膝に手を当てて押してゆく小河内吉哉さん(2007年山耐3位)の登り方
膝を押して登るやり方

①心拍数が低く抑えられるが、筋力を使うので、筋力が弱い人には不向き。
②ロングストライドでこれをやるとかなりの武器となる。
③股関節の柔らかさと、体幹のキレのよさが速さの鍵。

B 久原万里子さん(旧姓原 いわずと知れた実業団出身の元マラソンランナー)のショートステップでの登り

①筋力がない人に向いている。しかし、身体を動かすので、心拍数が上がる。高回転型の心臓を持っている人に向いています。
②女性にはこのスタイルがオススメ!
③男性でも、登りに弱い方には向いています。
④途中で歩き始めてしまわずに、最後まで登り続けることが鍵(なのだそうだ、久原さんに伺ったお話)

☆私のような、低回転型の心臓を持っていて、足の筋肉が、(多少なりとも)人よりは多くついている場合は、A が向いているのです。
☆要は、その人それぞれの心肺機能や、心臓の特性、筋力の有無、程度に応じた(適した)登りかたがあるということです。