下りの研究(五 完) grip走行、極限的な着地点を求めて・・。

いままで登山をやっていた方がトレイルランニングをはじめると「とても楽しい!」と感じるのではないだろうか?、マラソンランナーからトレイルに入った方よりも登山者出身のトレイルランナーのほうがトレイルランニングの自由感(重荷からの開放と、一日で進める距離が既成の「日帰り登山」の距離概念を打ち破っています。)を享受できるのだと思う。

5キロ以内の軽装備&トレイルシューズ&CW-Xのような機能性のウェア
・・こういった武器で、

①転がりやすい岩ルート
②ぬかるみのルート
③障害物ばかりのルート

こんな状況であっても通常の登山では考えられないようなところに足がかり(グリップ)を求めることが出来る。

重荷では、

「バーカ!そんなところ危なっかしくって歩けねーよ!」

なんていうところも、なんなく走りきれることになります。

軽装、でしかも重心の左右移動が少ない直線的な下降、しかも「高速」
逆説的ですが、この高速であることがゆえに・・「安定性」をえられます。

私が前提としているのはgrip走行なのですが、その究極のテーマは「極限的な着地点を求めて・・。」となります。


「使える」着地点を瞬時に見出して、そこに足がかり(ホールド)を求める。
使えるか?そうでないか、は「経験」と「感」が頼りになります。
経験が豊富ならば、瞬時に状況判断が出来る筈です。

その場合の若干の留意点です。箇条書きにしておきます。

①動体視力の重要性

②いくぶんの前傾姿勢・・腰が引けていないこと

③頭は進行方向へ・・顔が向いているほうに身体が進む

ハセツネルートから離れますが、奥多摩通に馴染みの雲取山頂直下のところも、直下降がベストです。雪道なら、直下降が自由にできるのですが、もし山野草が咲いている場合は、すこしルートを逸らしましょう。

(上二枚の写真は、山仲間shimadaさんのところから拝借しました。)

小雲取山直下も、登山道は、写真のようにジクザクにありますが、トレイルランニング的には、赤線のように下降するのが正解です。(たとえ、自然破壊だ!登山道破壊だ!となじられようとも・・。) これが、もしレースでしたら、なおさらです。
もっとも、写真のブッシュの部分は、ジャンプしてクリアできそうですね。

下りの研究(四) ジャンピング走法

さて、「直線的なルート」を下るとなると、いろいろな障害物が出てきます。そのクリアの仕方のひとつがジャンピングです。

トレイルランニングは、軽装ですので、重荷を背負った登山ではなしえないような(&考えられないような)山道の走り方が出来ます。
障害物(岩、木の根、ぬかるみなどなど)をジャンプして飛び越えるのもそのひとつです。
階段を一気に飛んで着地するのもこのヴァリエーションです。

見た目も派手で、カッコいいのですが、一方、負荷も高く、脚がダメになるのも早いです。

こういった走りをなしうるには、十分な下半身の筋力(瞬発力)&全身のバネが必要であり、そのためにはロードをいくら走り込んでも無理でしょう。
まさに、トレイルランニングが、平坦なところを走るマラソンなどと違う競技である所以です。

注意事項!

ジャンピングは見た目も派手でカッコイイですが・・。
着地に失敗すると怪我や故障の危険がありますので、くれぐれもご用心!

着地は、両足で着地するほうが安定して着地できるようです。

ジャンピングは、初心者向きではなく山道に慣れた上級者の技術になります。
初心の方が山に入っていきなり飛んでも、怪我をするだけですので、無理に飛ぶのはやめましょう。
また、山耐の様な長距離のトレイルレースでは、脚へのダメージが強いジャンピング走法は、避けるのが賢明だと考えます。

下りの研究(三) 重心を左右させずに直線的に下る。

トレイルランニング的に狙うべきは、赤線の下降ルート、緑線は踏み跡があるところ。
(場所 峰見通り付近 ハセツネではここは登ります。)

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高速で車の運転をされたことがあれば体験的に分ると思いますが、車はまっすぐ直進している時が一番「安定」しています。
走る人間も同じです。まっすぐに走るのが一番、「安定」しています。もちろん、まっすぐ走れば、動きに無駄がなくなり前に進むことに全ての筋力を集約させることが出来「速さ」も得られます。

山道の下りの場合、重心がすとんと落ちるようにまっすぐに下るのが、一番「安定」して下れるはずです。

ところが、登山道というものは、地形に合わせて微妙に左右にくねくねと曲げて作られています。それに忠実に従っていては、左右にくねくねと重心が振られてしまい、無駄な動きが生じて、走りが不安定になります。

そこで、「安定」に駆け下るために、登山道のくねくねをできうる限り「無視」して(左右の重心移動は可及的に避け)、人為的に直線的に下降します。

ポイントは二つ 

①道なりに、直線的に下ること。
②左右の重心移動は出来るだけ避けること。

当たり前のことですが、直線に下るのが、距離的、時間的に一番速く着きます。
また、直線的に下れば、「左右の重心移動を出来るだけ避ける」ことが出来、安定します。

ハセツネルートでもあるこの箇所は、下の写真のように木の階段があるにもかかわらず、左右にいろいろと踏みあとがあります。
ですが、トレイルランニングとしては、写真の赤線のラインを一気に駆け下るのが正解だと思います。

 ↑ 同じ場所の写真です。

ライン取りのイメージ図

ルートをはみ出していて、路肩を踏んでいる・・かなり極端なラインですが、あくまでも理想なライン取りのイメージです。

下りの研究(二) ステップ数(着地回数)を減らす。

緩い傾斜の下りでは、少しでもすくないステップ数で、下るのが理想です。

ステップ数が多いと、それだけ着地しているわけでして、ブレーキがかかります。( 着地=ブレーキ 逆に言えば、相当な急坂では、ステップ数を多くとれば、おのずとブレーキがかかります。)

また、着地点の選択で失敗して、滑ったりしてバランスを崩してしまう恐れがあります。
雨で滑る路面のような場合、不安定な路面への着地を出来るだけ減らせればそれだけ、安定して下ることが出来ます。つまり、路面状況が悪いほど、ステップ数(着地回数)を減らせれば、それだけ安全に、早く下れます。

「ステップ数が少ない=安全で、速い」という訳です。
下りの研究(一)で書きました long stride だと、おのずとステップ数が少ないですので、安全で、速くなります。


追補

トレイルランニングは、ノーマルのランニングよりも筋力を使いますので、怪我予防のためにも筋力トレーニングは重要です。(平地のランニングのための筋トレよりも高負荷でのトレーニングが必要です。)
どのようなスポーツでも「技術」は、それなりの筋力的な裏づけがなければ実践できないと考えます。

下りの研究(一) long stride を求めて・・。

昔は(もちろん今でもありますが)登山を教える登山学校(講習会)があった。
それと同じで、今では、トレイルランニングのノウハウを教える講習会が盛んである。

講習会に通う生徒(?)のレベルは、千差万別だから教える側もさぞ大変だろうと思う。

スキーにたとえると、全くの初心者から、経験数年のベテラン、果ては、セミプロ、オリンピックレベルまであるのだから・・。トレイルランニングも状況はそれに似ていよう。

ところで、どんな競技でも同じだと思うが、プロレベルの高度なテクニックというのは、初心者にはちょっとムリであり、それを体得しうるレベルの、体力、筋力や、運動能力、あるいは経験を前提として備えていることが要求されよう。

ところが生徒には、いろんなレベルの方がいる。そういうのを見極めて教えなければ(アドバイスしなければ)ならないから・・講習会を開くのは大変ですね。

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さて、ここではあくまでも私の備忘録的なメモとして・・何回かに分けて、「下り」の研究をしてゆこうと思います。今日はその第一回目

位置エネルギーを有効に距離に変換してゆく方策を考えます。

下りというのは、高いところから低いところへと降りてゆくのですから、そこで発生する位置エネルギーを有効に、「距離」へと変換してゆくことが、無駄のない走りをする上で、極めて有効であると考えます。

結論的にまとめてしまうと、緩い下りの状況下で、一歩で進める距離をすこしでも稼ぐには、脚を前方水平方向心持やや上に蹴り出すのが有効であるようです。これがやや下向きですと、着地点が近すぎてエネルギーロスとなり、逆に水平よりもかなり上向きですと、高くジャンプすることになり、着地衝撃が強く、失敗する恐れが出てきます。


※追記 このテーマは、題するならば long stride を求めて・・。となろうかと思います。
位置エネルギーを無理のない範囲で、出来るだけ長い歩幅(long stride)に変えてゆこうと言うのが狙いです。

画像はクリックで拡大します。

グリップ走法 下り~拇指球ラインでの着地

トレイルランニングでは、いかに早く駆け下りるかがひとつのテーマとなっているようです。

どこかの掲示板で、下りのポイントは、「体の重心を上下させずに、重力に従って下り、足は当ててゆく感じ。」という記事がありましたが、私はちょっと違うと思います。

ニュアンスの問題とは思いますが、「当ててゆく感じ」・・ではダメでしょう、しっかりと足裏で接地感を確認しつつ、一歩一歩しっかりグリップして下る、ほうがよいと思います。

解りやすいように「着地衝撃」を考えましょう。

着地衝撃は、くるぶし→膝→大腿関節→腰骨の順に伝わって、上半身と下半身が、腹筋によって、連結され、腹筋で吸収されます。(最終的には、胸の辺りにまで着地衝撃の振動がきますが、これは余りものと考えます。また、腹筋のほかに背筋も大切と思いますが、ここでは解りやすく腹筋に絞ります。)

着地衝撃を腹筋で確実に吸収するには、着地点を支点として、確実に踏みしめることが必要になります。そして私はこれを着地するほうの足の拇指球ラインで確実に着地することによって行っております。

試しに、「当ててゆく」走法・・バタバタ足を地面に当ててゆく感じで下ったことがありますが、バタバタ着地では、腹筋で、着地衝撃を上手に吸収できず、衝撃が上半身にまで及び、上半身に無駄な上下動が生じてしまいました。

着地衝撃を、腹筋で上手に吸収するには、バタバタ走法ではなくって、一歩一歩の接地感を足裏の拇指球ラインで確認しながら下るグリップ走法がよいと思います。そうすると、上下動が少なくなり、下りの傾斜に沿った、スムーズな流れで下れるはずです。

トレイルランニング以外の普通のランニングでも、腹筋を鍛える重要性が多く唱えられておりますが、そうやって鍛えた腹筋も、グリップ着地があってこそ初めて生きてくる(腹筋を鍛えた甲斐がある)ように思います。
バタバタ当ててゆく着地走法では、せっかく腹筋を鍛えても、腹筋によって着地衝撃を吸収できないものと考えます。

まとめますと、上半身の無駄な動きを抑えるためには、腹筋を鍛えることが必要ですが、その鍛えた腹筋を生かすためには、着地衝撃を確実に腹筋に伝え、吸収することが出来るように、グリップ走法が重要だと思います。