大常木谷遡行 2010年6月13日

久しぶりの大常木でしたので、備忘録を兼ねてひとつの記事にまとめておきました。

2010年6月18日 silvaplauna

※ まず、exblogにて掲載してあった大常木谷の二つの記事をこちらに移行してまとめておきます。

大常木谷遡行 2005年10月25日 掲載記事

※ これは初めて遡行したときの記事ですが、沢山写真をとったけれど詳細な記事は作成しませんでした。
※ 基本的に、この谷は、技術的にも、自然保護の観点からも「万人向け」ではないので、わたしは記事に仕上げることを好まないのです。

以下、原文のまま、

先日、大常木谷を会所小屋まで遡行したが、今そのレポートをあげることに戸惑いを感じている。

この谷の遡行には、敢闘精神が必要で、とりもなおさず奥秩父、大常木が好きで何がなんでも遡行するんだという奥秩父への強い思慕が必要であろう。
そういった思慕があってこそ、この谷の遡行をやり遂げることができると思う。

だから、手取り足取りの説明はこの谷をめざす向きには不必要である。
たとえば、大常木出合いまでの降り口にしても有名なところ3箇所はある、その一つひとつを写真付きで説明すると云うことはまったく愚かなことであろう。

自分の沢の経歴のひとつの勲章として、この谷を遡行しようとされる向きには決して来てほしくない。 
奥秩父の山と渓谷をこよなく愛し、万一この地でいのち果ててもよい、それでこそ本望と強く念ずる者にこそ、この谷を遡行し、奥秩父の神髄、その深さを味わってもらいたい、そういう貴重なかけがえのない谷である。

・・というわけで、今回の大常木谷のレポートは作成しないことにしようと思い至った。

最近、これまでとは違って自分の登山の情報公開にたいして疑問を抱くようになっている。
つまるところ、自分が楽しければそれで好いのではないかと思う。
何も他人の世話をやいてあげる必要はない。
これが山岳会の内部でのレポートならば、「情報の共有」という面があるのであろうが、ネット上ではハイキングからアルピニストまで登山の嗜好が違ういろんな人がいるので、どのような情報をどこまで公開してよいやら訳が分からない・・。また、今の情報の受け手に親近感を感じなくなってしまった。

これからは、デジカメを銀塩カメラに代えて、今までとおり、一人で、また将来、山の指向を同じくするかけがえのない気のあう仲間と山に行こうと思ったりしている。

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大常木の偵察 2008年10月18日  

※ これは大常木谷の出合いに直接下降できる下降ルートを見極めておこうといった意図の下に行った偵察でした。しかし、この年は10月18日の時点で、既に水温が相当に低く、遡行のチャンスを失いました。

以下、本文・・

ガイドブックには、11月上旬までが遡行適期として書いてあるが、実際どんなものだか、水温を確かめる意味で、先週(18日)出かけてみた。
出かける時間も遅く、沢も7月の小室川谷以来3ヶ月ぶりなので、いろいろと「感覚」を戻す意味のリハビリ(途中まで)遡行である。


沢沿いの紅葉は、標高も低く、水温の影響もあり稜線よりも遅い。


ゴルジュ付近


大常木のゴルジュ


五間の瀧・・これは容易な瀧であるが、すでに水温が相当に低く、滝つぼに10分も浸かっていると、身体が冷え切ってしまう・・苦笑


大常木谷出合い付近より、中央の岩は、飛龍山の禿岩(標高1999m)。

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大常木谷遡行 2010年6月13日

大常木谷は、2005年に初めて遡行して以来、毎年行こう行こうと思いつつも、ここ数年は例のレースの試走とかに追われて出かけられなかった。何しろ、遡行適期は6月~10月上旬ぐらいまでであり、レースが終わる時期はもう水温が冷たすぎてとても遡行出来ないからである。

今年は、4月のワラズ尾根が終わった段階で、次の目標は、三回目のA尾根か、この谷の単独での遡行にしようと考えていたので、5月半ば頃からザックに、ザイル、ハーケンなどこの谷の遡行に必要と考えられた道具をすべて詰め込んでおいた。

体調的には、4月18日のワラズ尾根で、無理やり起爆させ、その後、歩荷トレーニングを繰り返し重荷に慣らせ、スピードは遅いが重荷を背負って日の出山まで登れるほどに回復させた。

今年で三回目となるA尾根は、軽装、速攻登山で登ってみようと考えていたので、その後は、軽装によるスピードアップと、減量を狙ったトレーニングを重視した。しかし、体感的にまだ、A尾根を速攻で登れるほどに体力は回復していないので、今回、機会を得て大常木谷を先行させた。

というわけで、今回の大常木谷の遡行も、次回の山行のための体力的な慣らしとスピードアップ、それと減量のためのトレーニングの一環である。

13日は、梅雨入り前の好天ということで、大常木に入っている遡行者がいるかな?と期待したが、下降点には一台の車も停まっておらず、私達だけの静かな沢登りを楽しめた。

五間の滝


五間の滝を登り終えて、落ち口より振り返っての写真。

五間の滝は、滝つぼの右をへつりつつ水流右側に取り付く、最初はホールドが外傾しているが、中段になると階段登りの感覚で登ってゆける。高巻きルートもあるが、高巻きの場合は滝の落ち口に下降するときにザイルが必要、2005年に初めて遡行したときは高巻いたのであるが、そのときに残置されていた犬の散歩用のリード線がまだ残されていた。高巻きルートは、水量が多い緊急時以外はお勧めではない。

滝の落ち口の左壁には、ハーケンが三つほど打ち込まれており、残置シュリンゲの類が山ほど巻きつけられていた。山岳会とかで多人数で遡行する場合は、確保支点に使うのであろう。


五間の滝を過ぎてのゴルジュ部分

このあたりは日向ぼっこできる場所もあり、雰囲気がよいところだ。

千苦の滝


千苦の滝

この滝の巻き道は、以前に比べるとかなり明瞭であった。巻き道で問題となるルンゼ手前には最近の比較的しっかりした残置ロープがダブルで固定されていたが、どういうわけか肝心のルンゼのところは、かなり旧いザイルがシングルで張り渡されているのみだった。しかも苔むして古い立ち木にその末端が巻きつけてあり、見た感じ5年前から同じ立ち木に巻きつけられているようだった(さては、5年前のザイルかな?)。

山女魚淵~早川淵のゴルジュ


山女魚淵


早川淵一帯のゴルジュ

前回は、山女魚淵の深い淵を通過できず淵の手前から右手をよじ登り、ここのゴルジュ全体の大高巻きと懸垂下降を行ったのであるが、今回は倒木を利用して僅かの苦労で通過することが出来た。今回は、いざというときの高巻きのためザイルとハーケン、カラビナなども持参してルート工作にも対応できるように準備してきたのであるが、それらの出番はなかった。

例によってこの山女魚淵にも多数の残置シュリンゲが残されていた。ガイドブックには左の壁を高巻き気味に登って懸垂下降とあるが、どういうわけだか右の壁にも懸垂下降するための補助ザイルが残置されていた。右も左もいずれも7mほどは懸垂下降することになるのかな?詳細は不明である。

早川淵のゴルジュ終わりのほうにある小滝

崩壊地点


さて、核心部のゴルジュが終わってしばらく行くと、大崩壊地点があった、崩れて一年以上経過しているものであるようだが、まだ積み重ねられた岩は安定してはいない。これはかなりの規模の崩壊ですっかり谷を埋め立ててしまっている。気を引き締めて落石に注意しながら通過した。


崩壊地点のすぐ上にある4mほどのこの滝は、よく見ると水流右手にシュリンゲがぶら下がっていたので、あそこまで右手をへつるか何かすればどうにかなるかなと考えたが滝つぼの水が吸い込まれそうな濃い緑色で、あまりに深そうなので敬遠して右を巻いた(滝も4mそこそこで、巻き道もちゃんとあるのでは、わざわざ水に漬かって冷たい思いをしてまで登ってやろうという気にならない、笑)。

不動の滝


不動の滝は右手を高巻く(またかよ!?)、この滝の滝壷も濃いエメラルドグリーンでかなり深そうだ。登るのならば、水流左であるようで、真新しいシュリンゲが、滝の落ち口に設置されていた。確保にでも使ったものであろう。

上の二枚は、不動の滝上の斜瀑、穏やかな日本庭園的な美しさが味わえる。ここから先は、平凡な河原歩きとなってしまう。
遡行を会所小屋跡で打ち切るのなら、先ほどの不動の滝も登っておいたほうがよかったかなと多少反省する。

会所小屋跡へ


若干長めのゴーロ歩き、最後は河原歩きに飽きて右岸につけられた鹿の踏み跡を辿って無事に会所小屋跡に到着。昼食休憩。

会所小屋付近についての説明

不動滝を終えて、傾斜の緩い幾つかの滝を越える辺りからは、変わり映えのしないゴーロ歩きとなる。目印となる滝もないので現在位置が分かりづらい、途中のポイントとして、まず左にカンバ沢の出合いが分かれる。このカンバ沢を詰めると、大常木林道に出る筈なので、いざという時のエスケープに使えるかもしれない(私は辿ったことはないので無責任のようではあるが、大常木林道を歩くと幾つもの沢のつまりに出会うので、地図を見るとこのカンバ沢も大常木林道にぶつかっているはずでありそう感じた次第である)。カンバ沢の出合いを過ぎると、右岸は1mほどの笹薮が広がる小尾根となる。こういう小尾根が左右に幾筋も始まり紛らわしいのである。

その小尾根を左に見てさらにゴーロを進むとやがて右に御岳沢出合いが現われるが、この御岳沢の出合いのほかにもいくつか小さい沢が右から流れ込んでいるので判別に苦労する。御岳沢の出合は、あのワラズ尾根の開始地点であるはずだが、これがなかなか分かりづらい。御岳沢の出合いは幅1mほどの岩っぽい小沢で、出合い左手にかなり大きな岩のような尖がった岩塊があると記憶すればよいかもしれない(岩の大きさは、7~8mほどかな?とにかくおむすびのような小岩があるのである)。

私の場合、5年前の記憶もほとんど残っていなかった。このあたりは大常木林道の探索で、2005年頃にはよく来たものだが、当時はあまり迷いやすい地形だと感じたことはなかった。・・よくあることだが頭でイメージしていたよりも、現実の地形は複雑であるようだ。まぁとりあえずは、広い本流を外さなければ本流の右岸にある会所小屋跡までたどり着けるはずである。したがって、御岳沢の出合いを過ぎたら、本流の右岸に沿って進めばよいと考える。

また、カンバ沢出合を過ぎると本流も幅広くなるがそこには、焚き火のあとや、テントのときに使うシルバーのグランドシートの古いものが二つほどあった。こういうゴミも目印になろう。また、誰がどのようにして持ってきたのか不明であるが台所のゴミを捨てるようなひとかかえもある大きな青いポリバケツも本流のゴーロの中ほどに被せてあるのでそれも本流の目印である(笑)。

このルートで迷うとしたら、滝の前後ではなく似たような景色が繰り返される会所小屋界隈かもしれないと感じた次第である。

持参した用具、グレード、所要時間

20mザイル 3本
ハーケン、カラビナ 多数(それぞれ10枚以上)
シュリンゲ 多数(8~10本ぐらい)
ハンマー 二本(ひとつは予備)
ハーネス

当初は単独で行く予定だったので地元秋川の沢(滝)を独りで登るときに使ういつもの登攀用具をすべて持参した。今回はうまい具合に、一つも使わずにお荷物になってしまったのだが、まぁ、南アルプス辺りの沢登りのための予行演習ということにしておきましょう(笑)。

五間の滝のグレードは、3級下・・慣れていればノーザイルで登れるだろう。逆に言えば、この滝をフリーで楽々登れるくらいの技量を持っていないと、その後のいろんな滝や釜のへつりで困難を極め、足手まといとなりメンバーに迷惑をかけるだろう。

今回はルートも短いので時間をあまり気にしていなかったが、以下大体の所要時間・・今回のペースは、急がず比較的ゆっくり目

0930 大常木下降点
1000 大常木出合スタート
1300 会所小屋跡着 昼食
1330 大常木林道を下山開始
1400 シナノキノタルからモリ尾根下部に入る
1500 モリ尾根1434mポイント付近?
1600 大常木下降点に帰着

下降路

下降路には大常木林道と、モリ尾根を使用した。いずれも、4月18日に歩いたばかりである。大常木林道のほうは全く問題はなかったが、問題はモリ尾根で、モリ尾根の1434mポイントまでは明瞭であったが、その先で下降ルートを間違えた。右に龍喰谷出合い方面に向かったのはよいが、その後、尾根を間違えて、ひとつ南の尾根を下ってしまった。

ここら辺の沢筋は断崖絶壁であるケースがほとんどであるので、果たしてうまい具合に沢筋に下降できるか気になったが、うまい具合に緩い尾根に出ることが出来、一之瀬川に降り立つことが出来た。(もちろん、いざというときには懸垂下降をすればよいので気にはしなかったし、モリ尾根自体四回目で大雑把ながら土地勘もあるのでまさか断崖絶壁の真上に出てしまうようなヘマはしない自信があった・・笑)。

その後、一之瀬川を500m~600m下降してゆくと釣り人が二人いて、立ち話をするとかなりの釣果があったようだ。

さらに下降し、以前の遡行のときや、その後の何回かの偵察の際に見つけて覚えておいた比較的よく使われている大常木谷への下降ルートの「入り口」を見つけて、それを登り10分ほどで林道へ、林道を数十メートル歩いて車に帰着できた(帰着 午後4時頃)。

☆土地勘のない場合は、モリ尾根に分け入らず、素直に大常木林道をニ之瀬、三之瀬まで歩くのが安全である。

振り返って


会所小屋跡にて

今回は5年ぶり、二回目であったが、初回に比べると結構楽に遡行できたかなと考えている。ルートへの慣れや土地勘というものは大切なんだろう。今回は、ほぼガイドブック通りのルートを使い、水線に沿った遡行を行ったので無駄がなかったのかもしれない。なにしろ初回は、五間の滝も高巻きをしたし、山女魚淵一帯の大ゴルジュも大高巻きで挙句の果ては懸垂下降だったので、かえって危険なルートを進んでしまったのかもしれない。(高巻きというのは、足場も不安定で、崩れれば一気にゴルジュの下まで転落して命を落としてしまう。下手をすれば滝の直登よりも危険なのである)。

今回、同行していただいたのが陰山さんであり、氏は沢登りは冬のクドレ沢についで二回目であったが、無事に遡行を終えられた。13日の天気予報は当初、曇りのち雨であったが、氏は晴れ男なので、天気も好転し、太陽も出る沢登り日和となった。

当初、週末は地味なトレーニングの予定であったが、氏から「どこか(山に)出かけませんか?」とのお誘いを受け、私も久しぶりに大常木に出かける気持ちになり、今回の沢登りとなったわけである。

今回は会所小屋までのルート前半、この沢の美味しいところだけの内容ではあるが、まずは無事に行って来られたのでよしとしよう。

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