トレイルランナーと登山家、ハイカーとの心理的特性の違い

最近は「すこし冷めた目線」でトレイルランを捉えるように意識的に心がけている。このテーマは最近私が記事でよく触れるテーマであるが、ここにコンパクトにまとめておこう。ア・プリオリに「トレイルラン万歳!」といった論陣を張るのはあまりに幼稚であり、いろんな立場にたって思考してみることが大切だからである。

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登山のガイドブックを読んで、或いは知り合いの山仲間から情報を仕入れて、はたまた最近流行のブログから、どこそこに行ってみたいと思うようになり、時間の都合をつけて、出掛けるといった登山のパターンをするものと、年間に5つ以上のレースに申し込んで、レース中心の一年を送るものとは、心理的特性に歴然とした差があってしかるべきであろう。心理的特性に差がないと考える方がおかしい位である。

トレイルレースに関しては、単に、登山道でそういったレースを行って良いのかといった自然保護の観点からの議論の他に、そういったレースフリークな方を山に迎え入れても良いのか、といった観点からも議論されるべきである。彼らは、登山家や、ハイカーといった人たちとは異なった心理的特性をもっているからである。

要するに登山家や、ハイカーと年に数レースも消化する市民アスリートとは趣味、趣向が異なるのである。

例えば、私などは、あのレースのルートは、積雪期に単独で歩くのが一番困難で体力も必要だと考えるのであるが、トレイルランナーの多くは、レースで仲間と競い合って、力比べをしてその結果をまた日々の励みにしたいといった風に受け取っているようである。
こんなふうに何をもって困難とし、克服されるべき課題とするか、その第一歩のテーマから、趣味趣向が違うのである。

またさらに厳しい自然と向き合って、それとの対話をもって喜びとするか、レースでの仲間との競い合いとその結果をもって喜びとするか、心が満足する基準も異なるのである。

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アンチ・トレイルレースの方々のために・・

トレイルランナーの多くが感じるレースでの高揚感は、レース仲間との心理的一体感、連帯感が元になっていると推測される。
他の記事でも書いたが、それは日本のお祭りにおける神輿かつぎの一体感、高揚感にも似ている。

その一体感や連帯感を感じる連中が、レースを離れた場でも、グループを作って一定の意図のもとになんらかの活動を行うときは、これはすこし警戒するべきである。

共同体験であるレースにいくつかの策を施すことによってそういった心理的一体感や、連帯感を極めて作り上げやすくなる。
レースと言うものは、基本的にそういった危険性を内包するものである。

人心を操る才がある者は、ほとんど本能的にレースをそのようなものへと利用するだろう。

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4 Responses to トレイルランナーと登山家、ハイカーとの心理的特性の違い

  1. 無知の当事者 says:

    こんにちは、いつも興味深く拝見しております。自分は登山メインでそのバリエーションとしてトレイルランを始めました。実際のところ通常登山が9割以上ですが。ハセツネ含めレースは山で行われるものの、ある程度の安全が確保されたスポーツであって登山とは全くの別物であると考えています。レースだからこそあの軽装で入山出来るわけで万が一のことを考えるとレース時の装備品だけで入山する気にはなれません。1人で行動不能になったときを考えればそうなりますがレースは守られたフィールドで行われるものですから。ただこういう考えを持った方が生粋のトレイルランナーの方々にどれほどいらっしゃるのか分かりませんが。70kmの距離を歩き続けられるかどうかの自分試しという理由付けで参加に至りましたがそういう自分も踊らされている1人なのかもしれません。元来、走るのが嫌いで長距離走には全く無縁でしたが貴殿のサイトを拝見してハセツネ云々ではなく登山の為にジョギングを始めました。レースの出場や、まして完走なんて経験は今までなかったのでハセツネ30Kを完走したときそれはそれで達成感はありました。ちょうどそのときにお会いしてボケたことを言ってた訳ですが。今回はエントリーした以上、結果を残したいですが来年以降はこのままなら参加見合わせます。乱文で申し訳ございません。話がそれますが先日、甲武信から雁坂峠を経由して歩いてきたところモントレイルのテープが所々残っておりまして、てっきり秩父往還の残り物なのかと思ってスポーツエイドジャパンに問い合わせしたところ返事すらありません。自分の勘違いなら申し訳ないのですがこういう方々が環境保全を謳ってレースを行っているとしたら残念でなりません。それと去年は知らずにせざるを得ませんでしたがハセツネの素掘りの仮設トイレはあのまま埋めてしまってるんでしょうか?だとしたら今年は携帯トイレも持って行こうかと思っています。この辺も環境問題を謳っている割にいい加減だなとも感じています。

  2. silvaplauna says:

    無知の当事者さま

    いつも遅レスで申し訳ございません・・。

    トレイルランというのが現在どれくらいのブームになっているのか分かりませんが、トレイルランがブームになりそれに人が流れるほど、いずれ正統派の登山が見直されるようになってくると考えます。

    積雪期の登山を含めた正統派の登山はいわばスローフード、それが満足に出来るようになるには、4年、5年はざらにかかると思います。一方、トレイルランは、ファーストフード、そこそこ走れるようになるのにそれほど時間はかからない筈です。
    ハセツネの場合、周りを見ると、皆さん2年~3年ぐらいでサブ12を達成しております。 かたや、天気図を読んで、本を読んでルートを選別して、宿泊場所などの手配も自力で行って実現する登山、かたやヨーイドン!で、みんなと一緒にワイワイ走ればよいわけですので、登山の方が、総合的に要求されるものが高く一人前になるのに時間がかかるのはやむをえないでしょう・・。

    さらに、きちんとした正統派の登山ができる方がトレイルランのスキルを身に付けると、登山のレパートリーが格段に広がると思います。
    忙しい週末にすこし2000m気分を味わってこようなんて出かけるときは、トレイルランアプローチがベストです。
    (ちなみに奥多摩の山域で軽装のトレイルランを楽しめる時期としては、11月~3月一杯だと思います。4月、5月にはいると、歩くだけでも暑くって・・走るのは大変困難です。ですので、私は奥多摩のトレイルランニングの適期は、冬の時期であると考えております。)

    いただいたコメントにもございますが、登山向けに心肺機能を高めるには、坂道のランニングが手っ取り早く、お勧めです。
    ご自宅近くの標高差100m~500mぐらいの丘や小山を見つけておいて、週に2回~3回定期的に駆け登るのがよいと思います。
    レースに出るのなら、平坦なところも速くなくてはいけないでしょうが、登山を前提にするのなら、平坦なところはジョグで走れれば十分だと思っています。
    尾根を駆け登るといっても、ジョグペースぐらいの速さで十分です。登りをジョグペース以上の速さで登れるような人はめったにいないはずです。

    こんな風にトレイルランニングは、登山のためのトレーニングとして有用と思うのですが、実際の登山は、従来どおりのセオリーを踏んだ登山を実践する方が確実で安全だと考えます。つまり、重荷を背負っての正統派登山が出来ない人は、せいぜい夏のアルプスの尾根走りが限界となる筈です。

    分かりやすくまとめると・・

    ①トレイルランのみ、重荷の経験なし、→夏のアルプスの尾根走りどまりとなる。
    ②正統派の登山の経験あり、さらにトレイルランでトレーニングを積む、→オールラウンドな登山を支えるスキルの一つとなる。

    こんな風にトレイルブームに流されずにそれを上手く利用するほうが、長い目で見ると自分の登山の能力を高める効果もあり、ひいては安全に結びつくように考えます。

    ・・それから、ご指摘の二件は、コメントを受けまして早速、国立公園の管理当局に報告し現在問い合わせ中です。なんらかの回答が得られたら、またご連絡いたします。ちなみに、埋め戻し式のトイレの方は私も気付いており昔の記事で触れた覚えがありますが、・・相変わらず去年もまだ埋め戻し式をやっているのですね。

    3年程前に、「環境へ悪影響は無いのでしょうか?」とハセツネの大会役員に問い合わせましたら、「分かりません。」というお返事でした。
    この答えは、筋が通っているのでしょうかね?理解に苦しみますね(笑)。

  3. 無知の当事者 says:

    ご丁寧にお返事いただきありがとうございます。
    余計なことまでお時間を割いていただいたようで恐縮です。それにしてもひどいですね。レベルが低いと言うかそれ以前の問題・・・おっしゃる通り理解できません、しかも地場となればなおさらとお察し致します。
    トレーニングに関して近くの小山と言うと・・・神奈川県央のため思い当たる節がないですが探してみます。たまに近所の神社の階段とか走ったりはしているのですが。
    自分の考えを正当化するつもりはありませんがそれでも励みになります。お邪魔でなければまたコメント入れさせて頂きたいと存じます。

  4. silvaplauna says:

    おはようございます。
    お気遣い無く、これからもお気軽にコメントをお寄せください。

    神奈川県というと、元マラソンランナーの久原万里子さんや、大西勇輝さん、24さん、エンドウ君など相模原あたりの方を存じております。24さんは夜に「戦車道」とかを走っているとか、結構知り合いに神奈川の方が多いですよ。
    相模原の人に、丹沢の方が近いでしょ?と尋ねたら、奥多摩のほうが近いと言われました。あちらの方面は地理感覚が無いのでよく分からなかったりします。

    標高差100m程度の丘陵地帯の小尾根が見つかればよいですね。標高差100mぐらいなら5分~6分もあれば駆け登れると思います。行って下って、一回10数分。それを5回もこなすと、一時間ぐらいで結構なトレーニングになると思います。(「登り」を鍛えるだけならこれで十分)

    ・・昔横沢入りでそんなことをやっていましたが、さすがに同じところを登り降りするのも飽きました。

    気分がよいルート、あまり人が来ない静かなルート、夜中に運動しても近隣の方に迷惑がかからない人家から離れたルート(?)、人目につかずにパトカーが来ないルートなど幾つか見つけるのがコツです(爆)。

    私の場合は、①横沢入りの丘陵、②金毘羅尾根の末端付近、③日の出山やその周辺、等です。アプローチを含めて2時間以上かかるところへはなかなか出かけられないので、あきる野に住んでいてもこのくらいです。①あたりだと、せいぜい走っているのは1時間以内です(もっとも、今の時期はホタル見物の親子連れが都内からはるばるやってくるので、横沢入りは遠慮しています・・苦笑)。

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