トレイルランナーに山岳遭難保険は必要か?

トレイルランナーによる山岳救急事故が相次いで、新聞の三面記事を騒がせているというのならわかるが、トレイルラン関係で、新聞を騒がせるのは、大会と偶然に遭遇して、危険な思いをしたという苦情を寄せるハイカーの投稿や、高尾の登山道がルートを外れるランナーによって踏み荒らされているといった自然保護関係の記事ぐらいなものである。

五日市駅改札出口あたりで、トレイルランナーへの、登山届け提出そのほかの安全意識を喚起する活動がなされていたことがあるであろうか? ハセツネ・ルート上ではどうであろう? 試走の時に、都岳連スタッフから安全なトレイルランへの注意を受けたことがあるランナーがどれほどいるだろうか?

安全意識を高めること、そして、具体的な安全策を講じること、例 単独でのトレイルランは避ける、仲間と行動する。携帯で連絡を取り合う。 登山届けを出す。十分な装備を持つ、過去に遭難事故が発生したポイントはどこか公開して注意を喚起させる、遭難しやすいポイントに、ロープや鎖を設置して遭難を防ぐ、などなど・・。こういった遭難事故予防の啓発活動、その他こそ、まずきちんと目に見える形でなされるべきだろう。

しかるあとに、それでも遭難が起こってしまったときのために、まさに万が一のための保険として、山岳遭難保険への加入を勧めるというのが、物事の手順というものである。それもあくまでも、任意の形でである・・。

事前の遭難事故の予防策を一切抜きにして、遭難事故が起こったときのために、山岳遭難保険への加入を勧めて、レース参加資格の形で、事実上強制するのは、いわゆるフェアなやり方ではない。

参考までに・・青梅警察署山岳救助隊の報告

平成19年 山岳救助隊活動報告
発生月 山岳名 目的 原因 程度 年齢 性別
1 2月 蕎麦粒山 登山 道迷い 無傷 63歳 男女2名
2 〃 御前山 登山 道迷い 無傷 72歳 男女2名
3 〃 本仁田山 登山 滑落 死亡 67歳 男性
4 3月 六ッ石山 登山 病気 重傷 65歳 女性
5 4月 鷹ノ巣山 登山 道迷い 無傷 40歳 女性2名
6 〃 倉戸山 登山 転落 重傷 67歳 男性
7 5月 御岳山 ハイク 転落 重傷 10歳 男子
8 〃 棒ノ折山 山岳マラソン 病気 死亡 40歳 男性
9 〃 三ノ木戸山 山岳自転車 転落 重傷 41歳 男性
10 〃 御前山 登山 病気 重傷 21歳 男性
11 〃 本仁田山 登山 疲労 軽傷 73歳 男性
12 6月 大雲取谷 沢登り 道迷い 軽傷 45歳 女性
13 〃 御前山 登山 転倒 重傷 64歳 男性
14 7月 御岳山 登山 滑落 重傷 74歳 男性
15 〃 御前山 沢登り 道迷い 無傷 69歳 男性
16 8月 御岳山 散策 転落 重傷 32歳 女性
17 〃 日原川本流 渓流釣り 転落 重傷 50歳 男性
18 〃 雲取山系一石山 ハイク 道迷い 無傷 61歳 女性
21歳 女性
19 〃 御岳山 ハイク 滑落 軽傷 64歳 女性
20 9月 御前山 ハイク 道迷い 無傷 22歳 女性
21 〃 水根沢 Mバイク 転落 軽傷 35歳 男性
22 〃 御前山 登山 道迷い 軽傷 58歳 男性
23 〃 越沢川 ハイク 道迷い 無傷 57歳 男性
24 〃 越沢川 ハイク 転落 重傷 34歳 女性
25 〃 御前山 ハイク 道迷い 無傷 60歳 女性
52歳 女性
26 〃 日の出山 登山 道迷い 死亡 76歳 男性
27 〃 御前山 ハイク 転落 軽傷 64歳 男性
28 〃 御前山 登山 道迷い 無傷 32歳 男性
29 〃 日の出山 登山 転倒 重傷 29歳 女性
30 10月 惣岳山 ハイク 転倒 重傷 65歳 男性
31 〃 御岳山 登山 転倒 軽傷 64歳 男性
32 〃 川苔山 登山 転倒 重傷 59歳 女性
33 〃 御前山 山岳マラソン 転落 死亡 40歳 男性
34 〃 川苔山 登山 道迷い 無傷 26歳 男性
25歳 男性
35 〃 御前山 登山 道迷い 無傷 35歳 男性
36 〃 雲取山 茸採り 転落 死亡 65歳 女性
37 11月 本仁田山 登山 道迷い 無傷 23歳 男性
38 〃 大塚山 登山 病気 死亡 68歳 男性
39 〃 鋸山 登山 転落 重傷 53歳 男性
40 〃 川苔山 登山 転落 死亡 63歳 女性
41 〃 岩茸石山 登山 道迷い 無傷 46歳 男性
10歳 男性
42 〃 雲取山 登山 道迷い 無傷 45歳 男性
6歳 男性
43 12月 笙ノ岩山 登山 転倒 軽傷 65歳 男性
44 〃 御岳山 登山 道迷い 重傷 76歳 男性

平成19年末  当署手集計

奥多摩における山岳事故の特徴として・・・
登山に必要な体力、持久力の不足により、下山時に石につまずく等、転落する事故
急変する山の天気等、自然の脅威に関する知識不足による事故
道に迷いビバークの際、サバイバル技術の不足による事故
何事もリーダーまかせの「他人依存型登山」による事故
・・・などがあります。

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少なくとも、トレイルランナーによる山岳遭難事故は太字の2件であり、目に余るほど増えている、とはレポートされてはいない。
トレイルランナーによる山岳遭難事故、緊急事故がうなぎのぼりに増えている・・といった状況にはない様である。

ハセツネ30Kのあのコースを走る上で、山岳遭難保険への加入が必要というのであれば、青梅の御岳山に登るのにも当然、山岳遭難保険への加入が必要となるわけであり、ケーブル駅改札あたりで、「このケーブルに乗るには山岳遭難保険への加入が必要です。」とケーブル利用条件を設定するようなものである。

また、桧原都民の森に入るにも山岳遭難保険への加入が必要となるわけで、都民の森の出入り口で、「この施設に入るには、山岳遭難保険への加入が条件となります。」として、係員をおくようなものである。

実際そんなことをしたら、ケーブル利用者は激減し、都民の森にも誰も入らないだろう。
ハセツネ30Kでは、秋の大会にどうしても出たいんだろう・・と、ランナーの心理を読んだ上で、主催者が強気に出ている。

商売っ気が目に付く・・、故郷の山を、都岳連の商売道具に使って欲しくはないものである。

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3 Responses to トレイルランナーに山岳遭難保険は必要か?

  1. カセージン says:

    レースにおける保険はそのイベントだけの団体保険で充分であろう
    一般のアウトドアイベントでは保険料を参加費に含めて主催者が掛けるものである、現にハセツネの清掃登山ではこの手の保険が掛けられていた
    ハセツネレース本番に保険を掛けてはいないのだろうか?そのような記載を目にした記憶は無い
    受ける保険会社が無いのか?そんなことはあるまい
    ふつう山岳遭難保険というものはアイゼンやピッケルなどの道具を必要とするレベルの登山を指すらしい、トレイルランとはなじまない
    一般的なハイキングなどではアウトドア保険と呼ばれるクラスで充分なのだ
    それから、一回限りの保険や年間を通してのものなどの種別もある、ハセツネ30の要綱にはこれらのことが極めて曖昧というか何も記されていない

  2. カセージン says:

    追伸:ハセツネレース本番には団体傷害保険が掛けられているそうだ

  3. silvaplauna says:

    カセージンさん、コメントをいただきありがとうございます。

    そして先日はお疲れ様でした。
    山のほう・・またよろしくお願いいたします。

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