浅間峠までの所要時間× 3.25= 目標ゴール時間 区間時間配分比率 1:0.95:1.30 の話 (2)

以下、きわめて基本的な内容ですが、簡単にまとめておきます。
この内容は、山耐に限らず、全てのトレイルランニング、トレイルレースに関係してくるものだと考えています。
 
心肺機能のゆとり、余裕

サブ3、すなわちフルマラソンを3時間以内で走りきるには、時速14キロ強の速さで、42.195キロを走らねばならないが、そのためには、普段のトレーニングでも、せいぜい最高時速14キロ~15キロぐらいで走っておればよい、・・とは言えないだろう。

サブ3ランナーはいわゆるスピードトレーニング、1000m走、400m走も(当然)行っているはずであり、彼らが5000mを走れば、きっと15分~16分台で走りきれるはずである。 この場合、時速19キロ~20キロで、5000mを走っている計算となる。

つまり、時速19キロ~20キロで5000mを走れる人が、フルマラソンでは、ペースを時速14キロ強に落として42.195キロを走り通してサブ3を達成する。
この場合、時速19キロ~20キロで5000mを走れると言うのは、心肺機能のゆとり、余裕を意味すると考える。

①最高速度が時速15キロぐらいのランナーが、自身の最高速度に近い速さを維持して42.195キロを走り切り、サブ3を達成する場合と、②最高速度時速20キロのランナーが、余裕の時速15キロで走ってサブ3を達成する場合を比べると、②のほうが、より「ゆとり」を持って42.195キロを走ったと言えるはずである。

 

5000m走のタイムが速い選手=最大酸素摂取量が高い選手=長丁場のトレイルレースで有利

記事において私がしばしば掲げる5000m走のタイムと言うのは、いわゆる最大酸素摂取量の値(vomax値)に置き換えてもよいと思っている。
登山において、最大酸素摂取量が高いと言うのは、登りにおける、余裕、ゆとりを意味する。
集団での登山において、一定のスピードで登る場合は、この最大酸素摂取量が高い登山者のほうが、よりゆとりを持って登っているはずである。

トレイルランにおいても、最大酸素摂取量が高い選手は、そうでない選手よりも、ゆとりを持って登りの区間をクリアすることができ、この登りの区間のゆとりは、続く下りの区間や、平坦な区間において、それだけ余裕を持って挑めると言うことにつながる。言葉を換えると、本来の自分のパフォーマンスに近いものを発揮できることになる。

そして、この余裕は、レースのトータルでの疲労の減少に役立ち、山耐の様な長丁場のレースにおいては後半のバテの減少、スピードアップにつながり、ゴールタイムの短縮に直結する。

こんな風に、最大酸素摂取量が高い選手はそれだけ有利なのである。

だから、心肺機能面に限って言うならば、最大酸素摂取量が高い選手(=5000m走のタイムが速い選手)は、山耐のゴールタイムが、最大酸素摂取量が低い選手よりも良いタイムとなるのは、当然の結果と言えよう。

 

5000m=35分(or more)での巡航

さて、話を山耐に絞って、このレースでサブ8を達成するには、浅間峠→月夜見第二駐車場の区間(およそ20キロ)を、2時間20分で走りきらねばならない。 すなわち、5キロ=35分の速さである。

アップダウンが続き、路面状況も変わる5キロのトレイルを35分で走り切るには、走りやすく平坦なロードで、5000mを15分、16分で走り切れるほどの基本的な走力(別な表現を使うならば、それに見合った最大酸素摂取量の高さ)が、心肺機能のゆとりとして必要だと考える。
 
つまり、走りやすく平坦なロードで、5000mを15分、16分で走り切れるほどの基本的な走力(最大酸素摂取量の高さ)を持っている選手が、山耐の状況(すなわち、①一部荒れたハイキングルート、②荷物3キロ前後背負う、③午後1時スタート、4時間後に日没、④全行程71.5キロ)で、そのパフォーマンスを発揮すると、5000m=35分(or more)での巡航となると考えるのである。

もし、山耐の路面がもっと荒れたら、当然、巡航スピードも落ちるだろうし、もっと走りやすくなったら、巡航スピードは上がるだろう。当然、山域によっても異なる、例えば、奥秩父の登山道は、ハセツネルートのように走りやすくはないから、巡航スピードは落ちる。八ヶ岳や南北アルプスでも同じことである。

ちなみに、ゴールタイムそれぞれの巡航スピードの目安と最大酸素摂取量は以下のようになる。

サブ8  トレイルの5000m=35分   ロードの5000m=15分~16分ぐらいの最大酸素摂取量が必要
(12分間走で3750mを走らねばならない。)

サブ10 トレイルの5000m=42.5分 ロードの5000m=17分~18分ぐらいの最大酸素摂取量が必要
(12分間走で3333mを走らねばならない。)

サブ12 トレイルの5000m=50分   ロードの5000m=19分~20分ぐらいの最大酸素摂取量が必要
(12分間走で3000mを走らねばならない。)

 

山耐における三つの速さについて

長丁場のトレイルレースのゴールタイム(速さ)を左右する要因には主に三つあり、それはいずれも速さにひきなおして考察されるべきであろう。

①心肺機能としての速さ・・最大酸素摂取量のゆとりがあるか?と言うこと。これはレース全般に亘って影響する。

②筋持久力としての速さ・・71.5キロを走りきれるほどの脚筋が鍛えられているか?と言うこと。要するに後半まで足が持つか?と言うこと。
③消化器系の強さとしての速さ・・レース中の補給を消化器系がエネルギーに転換してゆけるか?と言うこと。胃腸が弱いともどしてしまったり、エネルギーが補給できないので後半にばてる。

この記事で主に書いてきたのは、①の速さに関してです。選手によっては、②、③に問題を抱える方がいらっしゃるのは皆様ご存知の通り。

①、②、③と三拍子揃った選手は少なく。高いポテンシャルを備えながらも①、②、③の速さを鍛え上げる過程で、怪我故障に苦しみ、せっかくのポテンシャルを発揮できないままでいる方もたくさんいます。(怪我や故障がすくなく、効率的で無駄がない、よいトレーニング方法が情報として共有されるべきです。)

この、①、②、③と三拍子揃ってはじめて、例の「初速を高めて、それを維持」することも可能となるのであり、区間タイム比率の、20:19:17:9 もしくは 1:0.95:1.30 という数値も意味を持って来るのです。

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4 Responses to 浅間峠までの所要時間× 3.25= 目標ゴール時間 区間時間配分比率 1:0.95:1.30 の話 (2)

  1. かげマルッ says:

    5千mとフルマラソンのタイムの関係について私の経験も踏まえてコメントさせてください。

    フルマラソンのサブ3には5千mのベスト16分台は要らないと考えます。レース1ヵ月前までに最低週1回2時間以上で25~30kmを1km4分20~30秒のペース走がしっかりこなせるのであれば,5千mはギリギリ17分台でもサブ3が十分狙えるはずです。

    私は5千mが15分台なら2時間20~30分台,16分台なら2時間40分台,17分台なら2時間50分台が可能と考えます。

    ちなみにスタミナを付けてからスピードを付けるか。スピードを付けてからスタミナを付けるかどちらが早くサブ3に到達できるかです。
    私は最初の体格によると考えます。
    標準型でBMIがおよそ20以上の人は,まずロングのスタミナをつけてできるだけウエイトを絞り,ウエイトが落ちてきたらスピード練習をする。
    やせ型でBMIがおよそ20未満の人は,スピード練習をして筋肉を付ける。そしてその後にスタミナを付ける。
    このようなやり方の方が成果が早く出ると考えます。

  2. silvaplauna says:

    かげマルッツさんこんばんは!

    鍵は、5000mを15~16分というのが、どの程度、困難なレベルであるのか? という認識次第ですね。

    私などにとっては、とても高いハードルに感じてしまいます。
    でも、s@toshiさんに言わせると、正しい指導を受けると誰でも比較的容易に達成可能なレベルであるとか・・。

    同様に、私はフルマラソンをサブスリーというのも大変困難なレベルと受け取っているので、本文にはこういう風に書きました。

    でも、かげマルッツさんご指摘のように、17分台でも、サブスリーがなんとか達成できるのならば、フルマラソンでサブスリーをとっても、山耐で、8時間台はかなり厳しそうですね。

    小河内さんは、5000mは16分台だそうですから、かげマルッツさんの指標によりますと、フルは、2時間40分台(推測)で、去年の彼の山耐の成績は、8時間20分ぐらいですので、大雑把に言って・・フルマラソンで、2時間45分を切れると、山耐でなんとか9時間を切れるレベル、ということになりそうです。

    では、もっともっと速くなってフルマラソンで2時間10分を切ると・・??

    でも、そこまでロードで速くなると、体型がロードに傾き過ぎて今度はスタミナの点で、山耐の71.5キロを走りきれなくなるのでは?とも考えています。

    フルマラソンと、山耐の関係は、どこまで比例してゆくのか?データが少ないのでなんともいえませんが、いずれ研究してみる価値はありますね。

  3. かげマルッ says:

    フルマラソン2時間45分で山耐サブ9はなかなかいい推定だと考えます。私は5年前のつくばマラソンが唯一のフルですが,この時のネットタイムが2時間54分台でした。5年前より5千mのスピードが向上しているとは思えませんが,今年の9月の走り込みから考えて2時間50分丁度ぐらいの実力があったのではないかと推察しています。
    ですのでギリギリで山耐サブ9いけるか~との状態だったと。結果的に9分ちょいのオーバーでしたので,益々最初の推定が活きてくるように考えます。
    ここからは私の領域ではなくおくのみやさんの領域なのですが,やはり山耐サブ8にはフルマラソンなら2時間20分台前半が欲しいところだと思います。
    もちろんトレイルレースでは心拍の上げ下げに対応できる心肺と筋力が必要なので,一概には言えないでしょうけど。

  4. silvaplauna says:

    かげマルッツさん お返事が送れて申し訳ありません!
    何しろ、今週は例のハセツネ30kのことをあれこれと考えていたものですから・・。

    一番最後にお書きのように・・ロードレーサーとマウンテンバイクの足回りが違うように、また、四駆と、スポーツカーの足回りが違うように、ロードのマラソンランナーと、トレイルランナーの足回りとは究極的には違ってくるものだと考えます。

    心肺機能的にもDieselエンジンとガソリンエンジンの違いに似たような特性の違いがあるかもしれません。

    トレイルランナー=低速トルク重視、ロードランナー=高速域での安定性・・・あくまでも推測ですが。

    ですので、一番の目安となるのは、最大酸素摂取量だと考えます。
    サブ8のためにはフルマラソンで2時間20分をマークできるほどの最大酸素摂取量が必要なのだと置き換えて考えれば分かりやすいかもしれませんね。
    鏑木さんや、横山選手はフルマラソンどのくらいなんでしょうかね?

    今度、奥宮さんにも伺ってみます。

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