トレイルランニングの大会化しつつある日本山岳耐久レースの今後を憂う、

日本山岳耐久レースの公式ホームページでは、鏑木選手と、横山選手が仲良く手をつないでゴールしたことに対して、審判部からの今後の対処方針が公開され、何かと話題を呼んでいる。

ここでは、表面的な議論は避けてことの深層を探ってみよう。

横山選手も鏑木選手もトレイルランニングの第一人者であり、トレイルランニング愛好家なら誰でも知っている有名選手である。トレイルランニング愛好家のあいだでは両氏を尊敬する人も多い。
そんな二人のゴールにいわばケチをつけるのだから、相当な勇気・決断がなければ普通はなしえないだろう。

両氏が招待選手なのかは知らないが、招待選手というものは、警備員に守られる特別な部屋を与えられたりして、レース後のシャワーとかも光明山荘ではなく一般選手よりも手厚く優遇されるものだ。

そのように、有名で優遇されるべき選手のゴールにケチをつけるのは並大抵の度胸ではないということである。ケチをつけるともしかしたら来年から参加してくれなくなるかもしれないからだ。同じことがOSJのレースで起こっても、OSJあたりならきっとケチはつけなかったであろう・・。

で、なぜその一線を越えられたかというと・・・耐久レースの主催者が登山家の集団である東京都山岳連盟であるからであろう。

要するに、トレイルランナーだけからなる主催団体ではないのであり、鏑木さんや、横山選手を「それほど尊敬してはいない人たち」、「他の一般選手と区別なく接する人たち」はもちろん、なかには、「こころよく思っていない人たち」までも・・いるのである(確実に!)。

東京都山岳連盟の中には、「トレイルランニング推進派」と、「登山競技としての山岳耐久レース復帰派」の対立があるように思える。今回の騒動にその、今まで表面化しなかった静かな対立がすこしだけ見て取れるような気がしている。

先日のレースの際も、ゴール会場脇で古参スタッフが、仲間と、渋い顔で「このレースは10時間でゴールできるようなレースであってはならない・・。」と言った内容の会話をされていた。

この大会には、かねてよりランナーが参入し、いまは、トレイルランナーと称され、去年あたりから、レギュレーションの変更が行われ、主催者側の公式ホームページにおいても「トレイルランニング」の大会といわば正面から位置づけられるようになった。そして、トップページには、いろんな協賛メーカーのリンクロゴ画像がペタペタと張られ・・ご覧のようにまことに見苦しい。
たぶん去年のレギュレーションの変更とともに、トレイルランニング大会への変容と、商業主義との妥協が正面からなされたのであろう。

でも、それは、いわば主催者側の一部の派(トレイルランニング推進派)が、いわば先走って、既成事実を作ろうとして、大会をトレイルランニングの大会へと変容させようとの再解釈を行っていることのあらわれとも見て取れるのである。

さらに言うならば、なんらかの危機感?を抱いたトレイルランニング推進派が、支持母体団体として、例の東京ハセツネクラブをにわか仕立てでつくりあげたと理解することもできる。

「登山競技としての山岳耐久レース復帰派」との仲がうまくいかなくなってきたのであろうか?

ちなみに、東京ハセツネクラブで、過去の優勝選手や、アドベンチャーグリーンたちを募って、次代のハセツネを支える団体をつくりあげようと言った試みは、期待するほどの成果を挙げずに失敗に終わるのではないだろうか?

そのように正面から「山耐=トレイルランニングの競技」として推進してゆこうとする団体は、言うまでもなく、「登山競技としての山岳耐久レース復帰派」の方々からはいい目で見られないであろうし、何よりもいままでハセツネを無償労働に近い形で地道に支えてきたあまたの都岳連スタッフを差し置いて・・、

「今は、スポンサーからの資金がたくさん得られるから、もう都岳連は要らないの、これからは自分たちで好き勝手にやるから・・、いままでありがとね!バイバイ!」

と簡単にできるわけはあるまい。そのような行為は、背信行為とも評されよう。

それに、今はなんとかスポンサーからの資金提供があるのだろうが、やがてブームも終焉し、懐事情も苦しくなる時が必ずやってくる。現に、去年に比べて今年はかなり、各メーカーの懐事情が厳しかったらしく無償提供品も少なかった・・。そんな時にも、これまでの大会スタッフの方々のようにいわば自腹を切って、山耐を自分たちの力で下支えして行こうと言うだけの決意がクラブ会員めいめいにはおありなのだろうか???

・・いろいろ書いたが、こんどの一件で、公式ホームページが書くように都岳連がけして一枚岩ではないことがすこし露見してきた。

(そもそも、公式ページは、トレイルランニング推進派によって書かれているひとつのプロパガンダであると考える。ページ読んだ人がどのように受け取るか?をよくよく考えて、読み手に与えるべき情報を選別・操作して、読み手がどんな印象を抱くかを念入りに計算して作りこまれた内容の文章が多い・・。わたしが、公式ページをプロパガンダと評するゆえんである。

それと比べるとこんどの審判所感は、正直言ってあまりよく練られておらずいわば書き手の本音が垣間見える。そして私はあの文章に、アンチ・トレイルランニングの意識(以前の登山競技へと復帰させようとする意図)・スタンスを看取できるのである。)

私としては、そもそも、登山家として一流でなくとも、優勝したり、上位陣に入れる現在のレギュレーションはおかしいと考える。

30キロ、40キロの荷物を背負って冬期登山をした経験がなくっても、フルマラソンで3時間を切るとか、ウルトラマラソンを10時間以内で走るとか、そういったおよそ登山とは場違いな人たちが、上位を占めて、しかも、大会主催者側によって、「速さを優遇される(速いものが偉いんだという価値を与えられる)」ことにより、ゴールタイムが遅い参加者たちに、尊敬を持って、敬語を持って敬い遇される不自然な環境をつくるのを後押ししているのは、まことに憂うべき状況である。

日本山岳耐久レースは、次代を担う登山家の教育・育成の場であるべきであり、トレイルランナーの全日本選手権となってはならないと考える。
それは、登山家による、登山を愛する者の大会で、登山家のための競技大会でなければならない。

・・トレイルランニング愛好家の方々や、スポンサーの皆さんが、トレイルランナーの日本選手権をやって盛り上がったり、一儲けしたいと思うのであらば、田中正人氏や、鏑木氏、横山氏たちと協力し合って、かれらの郷里、群馬県の山々で行えばよいと考える。

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