試走例③ 困難を求めて・・無補給によるハセツネ・アプローチの試み

今回のザック CAMELBAK SLIPSTREAM オメガ・リザーバーにポカリスウェット1.5リットルを入れて、他は携行せず。・・総重量は、2キロジャスト

今回の試走の狙い

事前のカロリー・ローディング、ウォーター・ローディングによる水分以外は「無補給」での、軽装、速攻登山

趣旨・・十分な食料や水を背負ってハセツネルートすなわち奥多摩での一般登山道を走破することに「困難性」は微塵もない。

困難への積極的な挑戦ということで、①水以外は無補給、しかも携行する水は必要最低限の量に絞る。
もちろん、無補給だからといってペースを落としては無意味!②サブ12を達成できる、5キロ=50分以内のペースを守る。
③ルートは、今回は、本番2週間前で、また雨が予想されたので、本部スタートから鞘口峠までの37キロほどとする。

・・とこんな課題が今回の試走の狙いでした。

Powerbar アミノバイタル ウィダーゼリーなどなど、長距離トレイルランナー御用達のいろんな栄養補助食品が出ているけれど、そういうものを本来的には使わないで完走できるのにこした事がない。

また、そういった栄養補助食品に普段から頼っていては、人間の身体に潜在的にある本来の能力が発揮できないことが予想される。

今シーズンの私の試走では、浅間峠からの50k歩きのときは、お握り6個、ウィダーゼリー2個を持参し、先々週の本部スタートから西原峠までのランでは、ウィダーゼリーを3個消費したが、そういった「補給」を私は、当たり前とは感じなかった。

私は、積雪期(1月~3月)に鴨沢から雲取山に走りに行くが、そのときはいつも水も持たず、ましてや食べ物も持たず、ライトも持参ぜず、「丸腰」で山頂往復をしている。

今回、その自由なスタイルで、ハセツネ・ルートに挑戦したいと思った。

何も持たないと、五感が冴えて、山をダイレクトに感じることが出来る、十分な水、食料を持参しての挑戦では、五感が鈍り、眠り込んでしまう・・。

もちろん、非常食など当然持たない(今回は、雨具ももちろん持参せず、医薬品も持たず)ので、このような登山には危険が付きまとう。  

・・でも、そこに、自由を感じる、普段、日の出山や、大岳山に空身で駆け登るように、五感に自然を(危険を)感じながら、ハセツネルートを、半分ぐらい走破できたら、どんなに素晴らしい自由を感じることが出来るだろう・・。

また、話を大きくして、エベレスト8848mに酸素を吸って一般ルートを登っても今の時代では評価されない。たとえワンデイアッセントと称して一日で速く登っても、無酸素で登るほうが高く評価される。

ハセツネでも同じこと、いろんな市販の栄養補助食品に頼って、速く走ることが出来ても本来的にはさほど評価されるべきではないだろう。必要装備撤廃についての宮地氏の声明文にあるように、はじめに道具ありきではなく、完走できるだけの強靭な身体がまず追求されなければならない。

ここで、道具とは、単にザックやライト、シューズにとどまらず、いろんな市販の栄養補助食品も道具に含めて考えていいと思う。

・・とそんなところから、今回の試走はスタートしました。

もっとも、一緒に走っていただく原始人ランナーさんの理解を得なければなりません。なかなか彼には理解できなかったらしく、以下mailでのやり取り・・。

峰 「明日7時に五日市駅で!明日は、摂取できるのは水分のみで、powerbar ウィダーぜリーなど固形物の補給はナシでお願いします。」

原 「それはよかったデス。でも補給なしとは何故ですか?前回の連絡で試合同様のということでばっちり揃えました。」

峰 「最初は御前を越えて大岳までという狙いでしたが、今回は雨天のため鞘口峠までですから(笑)。補給ナシで一度走ってみて、鞘口まででご自身の身体がどうなるかを確かめておこうという狙いです。どれほど動けなくなってしまうか、またどれくらいまだ動けるか、その辺のところを確かめておこうという意味です。」

原 「なるほど。それ水だけですか。粉系も持たずですね。」

峰 「もちろん、本番同様の荷物を背負ってでのトレもアリです。この場合、飲むのは水(ポカリスェットなど)だけですが、背の荷物は本番同様となります。原始人さんにはこちらがお勧めかな・・。」

原 「わかりました!明日よろしくです。」

重要な前提条件

水分以外は無補給といっても、前提条件があります。一言で言うならな、「気温が低いこと」です。
私が、雲取山を丸腰で往復するのは、いつも気温が10度以下(5度以下?)の冬の時期です。春の四月に入ると汗をかいて水を持たねばならなくなりますので、丸腰では登れなくなります。

今回の場合、2週間前の試走の時に、雨天の中、本部スタート~西原峠間が、水分摂取1リットルですんだというデータが下地になっております。つまり今の時期でも、雨天でしたら、水分補給はさほど必要でなく、汗もかかないので無補給で行ける!と読んだのです。

8日の天気予報は、降水確率が50パーセントで、朝6時のヤフー天気によると、朝8時から雨雲が西多摩を被うようです。早ければ8時から、遅くとも昼前後から雨が期待できるでしょう。

あくまで雨が降ることが前提条件ですが、雨が降れば、体温の上昇を雨が抑えてくれて、発汗せず、身体の恒常性を保ったまま、水は1.5リットルで鞘口まで行けるな!と読みました。

(実際は、雨は降らず、晴れ間さえ広がり気温が上昇してしまいましたが・・)

以下大まかなタイムです

本部スタート→5キロポイント 41分

私はロードは苦手でジョギングペースですので、今熊神社入り口まで24分も掛かりました。秋以降はすこしは、スピードトレーニングをこなして、平坦なところをジョギングペース以上の速さで走りたいと思います。

でも山に入ればこっちのもの、16分すこしで、5キロポイントです。私は登りの実力はサブ10以上です(爆笑!)。

5キロポイント→10キロポイント 55分

5分のタイムオーバーとなりました。でもさすがにこの区間にも慣れてきまして、苦にはならず、四つのピークを越えるとクリアできます。
船橋 緑さん率いる女性トレイルランナー軍団や、3人ぐらいのランナーさんに追いつくことが出来ました。

原始人さんが二言三言、船橋さんとお話ししておりました。あとから聞いた話では、船橋さんいわく「日付が変わる頃にはゴールしたい」そうです(カッコイイ!!)。

それじゃぁサブ10狙いの原始人さんは、「11時のニュースが始まる頃にはゴールしたい!」ってなるね(爆笑!)

鏑木さんは・・「9時の世界不思議発見が始まるまでにはゴールしたい!」ということになるのかな?

10キロポイント→15キロポイント 45分

5分の貯金です。この区間でも、二人のトレイルランナーさんに追いつくことが出来ました。私は登りが強いので、すらりとした速そうなランナーさんにも登りで追いつくことが出来ます。サブ12のペースで走っていると、向かうところ敵なし!敵はサブ10ランナーのみとなります。

ところがあろうことか逸歩地手前で、原始人さんの足の具合が悪くなり若干ペースダウン!私が先行し、分岐では声を張り上げて呼びます・・そんなことをしているうちに、いきなり速いランナーさんが1人現れて、すっぱ抜いていきました。

原始人さんの調子がよかったら、ヤツに喰らいついてゆけ!と競り合わせてやりたいところでしたが・・まぁそれは本番にやってもらいましょう。

15キロポイントではじめて、水を飲みます。

15キロポイント→20キロポイント 55分 

15キロポイントから二つの小さいピークを越えて醍醐丸ですが、その二つ目あたりで上から下ってくる背の高い男性が・・。

近づいてみると、先日、浅間峠からの50k歩きのときバスでお会いした、相馬さんでした。ありがたいことに相馬さんも私のことを憶えていてくれたようで、相馬さんから先に会釈をいただいてしまいました(失礼致しました 汗!!)。

先日はどうもありがとうございました。・・のいつもの挨拶のあと、今日は、ルートを逆に走っておられるんですか?とお伺いしますと、身体の調子が今ひとつなので、連行峰まで登って今日は引き返すとのこと。引き返すにしても来た道を引き返すのですから、皆さんが嫌がるあの峰見尾根を登りかえすわけでして、やはり大したものです。

あとから原始人さんが来ましたので、彼を紹介し、本番では追っかけさせていただきます!とお願いしておきました。またハセツネ会場で出くわしましたらよろしくお願い致しますと、もちろんお願いしておきました。 
またまた図々しいお願いをさせていただき本当に恐縮であります。

私的には、鼻息の荒いサブ9ランナーのお兄ちゃんよりも、こういった年上の物腰が穏やかな紳士の方のほうが自然と頭が下がり、尊敬する気持ちを抱きます。
単に速いだけの、鼻息の荒いサブ9お兄ちゃんランナーさんには、むしろ敵対心が沸いてきます(爆笑!)。

相馬さんとお別れしたあとも原始人さんが、相馬さんの下りの走り方を、よく観察して勉強している姿が印象的でした。

さてこの区間は 55分!5分の超過! 今回は連行峰の登りで時間を食いました。連行峰到着はスタートからジャスト3時間の180分です。 

雨がすこし降り始めて、さぁ降り始めるかなと期待したのですが、すぐに止んでしまい・・計画にすこしずれが生じてきました。連行峰の登りを今の時期に雨なしで登るのでは、発汗が多くなって・・これ以降身体の調子が悪くなるであろうことが予想されました。
醍醐丸の登りも、連行峰も雨にうたれながら登るのが理想でした。

ちなみに相馬さんと出くわして元気が出たのか?脚の調子が回復した原始人さんは、165分ぐらいで、連行峰を通過したそうです。現金なひとですな・・。
(ちなみに、彼は船橋さんとは、相性が悪いようで・・。)

連行峰からは緩く下るのですが、 どうも腰上の重量がある私は、原始人さんのようにキロ5分のペースでは下れません。かといって、上半身の筋肉を落としたくはないし・・困ったものです。

20キロポイントはどこにあるのか分らないのですが、折り合えず軍茶利神社手前ぐらいで計算しております。

20キロポイント→浅間峠 36分!

このわずか2キロ半の下り基調の区間に、36分も掛かりました。原因は、右足太腿内側の筋肉が攣ったためです。
軍茶利神社あたりから、雨が降るどころか陽が差し始め青空さえも出てきました。天気予報とはまるで違います。

当然発汗量も増大し・・恒常性が維持できなくなってきます。
これではダメだ、気温が高すぎて歩けなくなるのは目に見えていると、計画の失敗を認識!それ以降ヤル気が失せました(爆笑!)。

右足太腿内側の筋肉が攣りましたので、応急処置で、ポカリスェットを大量に摂取します。直に痙攣はなくなりましたが、おかげで水が浅間峠を待たずしてなくなりました。

浅間峠の寒暖計では、気温18度!どこかの記事で読みましたが、前日は、14度ぐらいだったようです。雨も降らず、気温が18度では、私の無補給作戦は成り立ちません。

・・というわけで、早々に計画の続行を中止して浅間峠で下山することにしました。もちろん、また気温が低い雨の日を狙ってリベンジを狙えばよい、ただそれだけのことです。

浅間峠到着は、11時25分・・体力的には、あと13キロほど歩いて三頭を越えることは十分に可能でしたし、それでも、都民の森15時発のバスには間に合ったでしょう、が、日原峠で水を汲まねばならず、そうすると5キロ=50分のペースを維持できず・・。

5キロ=50分のペースを維持できないことが明白となった時点で、潔く計画の続行は中止です。

・・ところで、私は230分で浅間峠でしたが、原始人さんは、195分の速さで到着!なんでも、三国峠辺りからは、ずっと飛ばしたそうです。

同じような気温でも、彼にはあまり影響はなかったようです。

彼の場合、①真水1.5リットル、②オレンジジュースのようなクエン酸を含んだボトルを持参しており、後者が、筋肉の痙攣に効果があったようです。
私は、ポカリスェット1.5リットルのみ!でして、体重が90キロ近い私では、この日の陽気では1.5リットルでは全くもって足りません。(ちなみに、原始人さんの体重は60キロぐらいだそうです・・。)

各人なりの運動可能な気温範囲

原始人ランナーさんと私とを比べますと、最高のパフォーマンスを発揮できる運動時の気温の範囲が違うようです。

私は冬山もやりますので、冬場が運動のもっとも大切な時期です。年間のトレーニングも夏場はいわばオフシーズン、秋から春先が本番です。
気温にすれば、マイナス20度→5度前後でベストパフォーマンスを発揮できます。
もちろん体脂肪も18パーセント!とかなりあります。

原始人さんは、もともとは短距離選手ですので、気温的には、±0度→20度の範囲でベストなのではないでしょうか?体脂肪も一桁のアスリートです。
時期的にベストパフォーマンスは、春先から初冬までかな?

こんな二人の違い、また脚力の違い(原始人さんはランナーですので、緩い下りはランペースで飛ばせます)から、浅間峠で、相当なタイム差が生じてしまったように考えます。

トレイルランナー諸氏には、私のような最適気温範囲が低いタイプは少なく、原始人ランナーさんのような最適気温範囲が高めのタイプの方が多いと思われますので、今回のような天候状況でも、大方のトレイルランナーさんは、ほぼ通常通りのパフォーマンスを発揮できたように推測されます。

もっともハセツネサブ10ランナーの相馬さんでも、途中で引き返されましたから・・人それぞれ、その日の体調も大きく影響してくるのでしょう。

ザックレス

今回は、チーム「原始人ランナーズ(別名 TEAM Izumi)」 の切り込み隊長 なべ さんは所要で残念ながら不参加でしたが、振り返りますと、なべさんも参加いただきまして浅間峠から先は、原始人ランナーさんと二人で走り切っていただいたほうがよかったかもしれません。
もっとも、当日は本番二週間前、無理は禁物の時期ですので、今回のテスト試走は、これでよかったのだと思っております。

来年(?)以降は、こういったトレーニングをもっと実施して、頑張ってゆきたいと思います。
トレーニングというものは、いくらでも厳しくできます。もっとも、厳しくすればするほど、危険も伴い「誰にでもできる」ものではなくなります。

必要装備が失格事由からなくなり、極論すれば、ザックレス=リュックサックを背負わないで両手にペットボトルを持って、ズボンのポケットに、コンパクトな補給食を忍ばせて、71.5キロ走りきるといったアプローチもできるようになりました。できるできないに関わらず、いずれはそういう形態にトップ選手は向かうでしょう。

今年の大会で、ザックレスの選手が現れるかは、まだ分りませんが、近い将来は、ザックレスとなりましょう。

ザックレスの条件

①大会当日の気温が低いこと・・水分補給を減らせる。

②もともとの水分必要量が少ないこと、第二チェックポイントまで、1000mlを必要としないのならば、極論すると、ザックを背負わずに両手に500mlのペットボトルを持てばよい。

③補給エネルギーも少なくて済むこと・・ポケットに忍ばせるぐらいの補給量でゴールまで走りきれるのならば、それに越したことはない。

④気温の変化に対応できるだけの身体能力を備える・・こうすれば、雨具も不要です。

振り返って・・

今回の試走は、自分の登山が出来ない鬱憤を自分好みのスタイルを選んでハセツネ・ルートにぶつけたものです。
当たり前ですが、初心の方向けの内容ではありません。山に慣れていない方はくれぐれも真似をしないようにご注意願います。

さてさて、ハードな試走も終わったことですし、あとは天気のいい日に「ゆっくり試走」をこなし、ハセツネルートをざっと俯瞰してみようと思います。

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