酸素負債から見るハセツネ


「酸素負債」から見た山岳走のイメージ図


ハセツネ・ルートの後半部分の起伏図を作製しました(↓に掲示、5分割してあります)、参考にされてください。クリックにより拡大いたします。もとよりこの図は厳密なものではなく、あくまでもイメージ的なものです。

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先日の試走は明らかにオーバーペース!あれでは、途中で疲れ果ててしまいます。
耐久レースをうまく乗り切るには、登りで発生する「酸素負債」をいかにうまく解消するかにあると思います。以下、ご参考まで・・・。

酸素負債といっても、ぴんとこないと思いますが、ひと言で言うならば、登りを無理なペースで走ったときに現れる「息切れ(ヒーヒー・ハーハーしている)状態」を言います。

個人的な感想ですが、だいたい両膝に手をあててかがみこんでヒーヒー・ハーハーと荒い息をするようになってしまうと「もうお仕舞い」で、それ以降はとりあえず「歩く」ぐらいのことしか出来なくなります。
(酸素負債が累積するとばてます)

短距離走では、ゴールまで短いですので、酸素負債が発生しても問題はありません。また長距離走の場合は、酸素負債がプラスマイナスゼロの範囲内での速さで、走る(むろんそのペースは人それぞれの走力に応じて違います)わけですので、ここでも問題は起こりません。

山岳走の場合、登りで頑張るとどうしても酸素負債が発生してしまいますので、その発生した酸素負債を如何に、平坦なところや下り部分で解消して走りきるかということが問題になります。

つまり、山岳走=短距離走+長距離走 というわけです。

平坦なところで走力を養った長距離ランナーの方は、あくまでも、プラスマイナスゼロの範囲内で走りきることに慣れているために酸素負債が過度に発生する状況に身体が慣れていないように推察します。

そのために安全策として、よく聞く例のパターン「登りは歩いて、下りと平坦なところは走る作戦」が生まれます。 これはもう古典的な作戦ですが、その作戦の正当性は、酸素負荷の発生を回避しバテを防ぐという観点からは、意味があり、今でも通用する作戦でしょう。

ですが、TTR-100とか、トランス・ジャパンアルプス・レース(TJAR)のような「超」長丁場ならさておき、71.5キロのハセツネでは、この作戦はもはや時代遅れ、サブ12も達成できるかどうか怪しいところです。

サブ12や、サブ10以上を狙う場合、登りもそれなりに速く駆け登らなければならず、そうしますと、どうしても酸素負債は発生してしまいます。ですので、登りで発生した酸素負債を下りや、平坦な部分で如何に解消し、なおかつ下りや、平坦なところではそれなりに速く走れるか?が大きな課題となります。

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イメージ的に数式であらわすと・・

A1 標高差500mの尾根道を 30分程度で駆け登れる速さ
(あるいは、標高差1000mの尾根道を60分程度で駆け登れる速さ) 
A2 標高差500mの尾根を20分~25分程度で駆け登れる速さ

B 平坦なところ&下りでの
B1  時速 7~8キロの ジョギングペース
B2  時速 10キロ前後のランニングペース

A1+B1= サブ12

A2+B2= サブ10

となります。

ちなみに サブ8? となると、推測ですが・・。

A2 標高差500mの尾根を20分~25分程度で駆け登れる速さ
B3 平坦なところ&下りでの  時速12キロ のランニングペース

が最低必要になるようです。

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ちなみに、最近流行りの心拍計ですが、心拍数が一定以上になると、登り、下り、平坦にかかわらず、酸素負債が過度に発生すると考えられます。(いままで、登りでの酸素負債を論じてきましたが、これは登りでは特に酸素負債が発生しやすくばてやすいという意味からです。スピードを出しすぎれば、本来酸素負債の発生率が一番低い下りでも過度に発生してしまいます。)

心拍数が一定以上にあると酸素負債が過度に発生し、ばててしまう恐れがあることから、心拍計を酸素負債の蓄積防止の見地から、うまく利用する方法もあると思います。例えば心拍数が、160以上になると、酸素負債が急に高まるような傾向にある方の場合、レース中に心拍数が160以上に上らないように気をつけるという作戦です。

どこかで読みましたが、石川弘樹選手は、ハセツネでは心拍数が165以上に上らないようにされたそうです。

どのラインで線を引くかは、人それぞれですが、酸素負債の観点から言って、心拍計を上手に利用する作戦は正しいものと思います。

もっとも、長くトレーニングされておられる方でしたら、心拍計を装着しなくとも、経験的に、この心拍数ではばててしまうというのが分っていると思いますので、様々な状況・経験を踏まえた上での勘というのも有効であると思います。

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以上まとめますと・・。

①酸素負債が一定以上溜まると、一気に「疲労」してしまうから、登り坂では、本調子の6割~8割の速さで登るようにする。そうすると、酸素負債の過度の発生を抑えることが出来る。

②登りで発生した、酸素負債は、次の平坦なところや、下りの部分で解消することになるが、そうすると当然その部分(特に最初の数十メートル)は、いつもどおりには走れません(平坦なところや下りでのいつものペースよりは落ちる)。が、これはやむをえないことです。

③平坦なところや、下りをある程度走り、(登りでの)酸素負債が解消したら、いつものペースで走りますが、次に登りが来る!という場合には、あまり、平坦なところや、下りでは追い込まないようにします。追い込みますと、平坦なところや、下りであっても酸素負債が発生しやすくなるからです。つまり、登りが始まる少し手前では、ペースをすこし落として、息を整えて登りに入るようにします。息を切らしたまま、登りに突入してしまうと、酸素負債が極大化して、疲れ果ててしまうことになりかねません。

登りで発生する酸素負債を前後の平坦なところや下り坂で、分散・解消して、つまり、うまくやりくりして、疲れ果ててしまわない範囲で、ルート全体として スピードアップを図る。そこら辺が、鍵となります。

こういうことは文章で書いてもよく分りにくい、と思いますので、ルート後半の起伏図に若干のアドバイスを加えたものを下に作成しておきました。ご参考まで・・。と同時に、これはトレイルレースにおいては試走によるルート慣れが大変に重要であることの例証にもなると思います。


三頭山→月夜見山間の起伏図 クリックで拡大します。


月夜見山→御前山間の起伏図 クリックで拡大します。登り下りの高低差、距離はイメージで、こんなもんだという概念図です。


御前山→大岳山間の起伏図 クリックで拡大します。登り下りの高低差、距離はイメージで、こんなもんだという概念図です。


大岳山からの下りの概念図、大岳山→御岳間の起伏図 クリックで拡大します。登り下りの高低差、距離はイメージで、こんなもんだという概念図です。大岳の危険な岩場&鎖場部分が終わったら、走りやすい道になりますので、ラストスパートになります。


御岳→本部ゴール間の起伏図 クリックで拡大します。登り下りの高低差、距離はイメージで、こんなもんだという概念図です。日の出山への登り以外、走りやすい道ですので、全区間ラストスパートになります。

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